カーボンファイバーでできたバイオリン弓

  • 2020年2月27日
  • 2020年2月26日
  • コラム
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炭素繊維を接着剤で束ねて作るカーボンファイバーの弓は、技術が進むにつれて普及してきた弓です。

これまでも少ないながら出回ってはいましたが、価格は抑えめでも決して質が良いとはいえないものが主流でした。

それが、最近では技術の進歩とともに高級といわれるレベルのものが出回るようになってきています。

カーボンファイバー製の弓は良いのか

カーボンファイバー製の弓の特徴は、とても軽いわりには強さがあることです。

F1の部品にも使われているほどの強度があり、ゴルフクラブのシャフトやスキー板、釣り竿などにもよく使われています。

バイオリンの弓に使えば、操作がしやすく楽器の特徴を存分に引き出してくれるというメリットが挙げられるでしょう。

これまであまりバイオリンの弓に使われてこなかった理由としては、弓のように複雑な形状には加工しづらかったということがありますが、技術進歩とともに良質なカーボンファイバー製の弓の流通量が増えてきております。

弾くとわかる木材製との違い

近年では、パッと見ただけではわからない程、カラーも綺麗に施されているものも多く、一見見分けがつきません。

さて、違いはどこで見分けることができるのでしょうか。

  • 比重の違い(重い部分が一般弓とは違う)
  • 木材のように弓の曲がりの修正メンテナンスが困難

カーボンファイバーは非常に軽くて扱いやすいのですが、弓にしてみるとあまりにも軽すぎるともいえます。

そのため、銀を巻いて重量を増すなどさまざまな調節がなされています。

このような調節がなされた弓は、見た目は他と変わらなくても弾いてみるとまったく違うことに気付くはずです。

全体が木材でできたものと比べれば、弓を動かした時に加速する加減が明らかに違います。

また、弓を弦に当てた時のバランス配分も大きく違うと気づくでしょう。

カーボンファイバー製の弓はメリットも多いのですが、木材製と違って修理しづらいという点は否定できません。

良質な弓は、反りに問題が生じた時には火であぶるなど修正を加えることで、何十年も使い続けることが可能です。

しかし、カーボンファイバー製の弓はそのような修理が難しいので、どちらかといえば初心者にオススメな弓ということもできるでしょう。

若しくは、2本目、3本目の弓として弾き具合を楽しむというのもオススメです。

カーボンファイバー製が普及してきた背景

バイオリンの弓といえば、フェルナンブーコ材やブラジルウッド材が原料のものがたくさん出回っています。

特に価格も高めで質の良い弓となればブラジル原産のフェルナンブーコ材、というのがほとんどといえます。

フェルナンブーコ材は、強度があることから曲げにも強く、さらには高密度で湿気に強いなど非常に多くのメリットがあります。

つまり、反りをキープしなければならないバイオリンの弓としては申し分のない素材というわけです。

しかし、近年、フェルナンブーコの木は、絶滅が危惧されるほどに激減してしまいました。

バイオリンの弓だけではなく、その美しい色合いから高級家具や調度品などさまざまなものの材料になってきたからです。

もともと希少な樹木であったフェルナンブーコは、2007年にはワシントン条約により輸出取引が禁止されるようになりました。

このような背景もあって普及してきたのがカーボンファイバー製の弓だったのです。

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