バイオリンを演奏する方もしない方も、ストラディヴァリウスの名前は聞いたことがあるかと思いますが、ガルネリウスはどうでしょうか。
知らないと思いますが、両者ともに、非常に有名なバイオリン製作家となります。
ここでは、ストラドとガルネリの違いについて解説していきたいと思います。
師匠は同じニコロ・アマティ
ストラディヴァリウスもガルネリウスも甲乙つけがたい魅力のあるバイオリンです。
世間では驚愕の値段で落札されるのに驚いた人も多いことでしょう。
両者は、f字孔やCバウツ、胴体など見た目に明らかな違いがあるため、表情だけではなく、音色にも違いが出てくるのは当然のことです。
また、ストラディヴァリウスもガルネリウスも「アマティ」とともに世界三大バイオリンの一つに数えられ、両者の師匠に当たるのはニコロ・アマティです。
ストラディバリウスの特徴
ストラディバリウスから醸し出される音は明るく華やかで力強く、特に高音が非常に美しいともいわれています。
深みがあって柔らかな音色はホールの隅々にまで行きわたり、多くの聴衆を魅了してきました。
そんな素晴らしいストラディヴァリウスの特徴は以下のものがあげられます。
- f字孔が均一で活字のような形状をし上下のカーブがスムーズ
- カーブがきつめのCバウツ
- 横に直線的な胴体(上部と下部)
- 丸みのあるボディ内での乱反響により明るい音色が強調される傾向(丸みが減衰するイメージ)
- スクロールに至るまで造りが非常に丁寧である
また、胴体のふくらみはグァルネリウスよりも大きめにできています。
ストラディバリウスは、高嶋ちさ子や千住真理子、そしてハイフェッツなど多くの演奏家に愛されています。
ストラディバリウスの制作数は合計1,200挺ほどで、その半分ほどが残っているといわれています。
その中でも特に優れていると言われるのが18世紀に制作されたストラディバリウスです。
ガルネリウスの特徴
一方のガルネリウスの特徴はといえば、比較すれば低音に大きな魅力を持つことにあるといえ、特徴は以下のものが考えられます。
- f字孔が長目且つややいびつでとがった形状をしていること
- 緩めのカーブを描くCバウツ
- 比較的膨らみの少ない胴体
- 表板と裏板がより水平に保たれていることが直接的な跳ね返り(パワーサウンド)を生みやすい傾向(特定音域が減衰する前に直ぐに外に出すイメージ)
- スクロールの造りが荒い傾向にある
また、全体的な大きさが小さめで弾きやすいことも特徴の一つです。
音が抜けやすくまるで大砲のような印象を持つことでしょう。
神尾真由子や後藤みどりの他、スターン・コーガン・グリュミオーが愛用していることでも知られています。
パガニーニ―も生前はガルネリを愛用していたと言われています。
しかし、制作数はストラディバリウスよりもかなり少なく全部合わせても200挺ほどです。
現存しているものはさらに少なく100挺ほどでしょう。
どちらかといえば、ストラディバリウスの方が知名度が高いといえますが、それは製作本数もさることながら、音響影響範囲外の装飾部分までに拘りを貫いたストラディヴァリウスの熱意の継承ともいえるのではないかと思います。