弓の先端にはチップというパーツがついています。
どんな素材でできていて、どんな役割を持っているのか知っていますか。
もし欠けてしまったり、剥がれてしまったらどうすればよいのでしょうか。
チップは何でできている
チップの素材にはいろいろな種類があります。
オールド弓には象牙や牛骨が使われていました。
現在でも牛骨は使われています。
また象牙の代わりにマンモス象牙も使われています。
- 金属
- 牛骨
- 象牙
- マンモス象牙
- プラスチック
- イミテーション象牙
金属のチップ
近年は象牙の代わりに金属のチップを使うケースが増えています。
牛骨
硬いため耐久性があります。
丈夫で長持ちするのでチップの素材に適していますが、硬いゆえに衝撃を受けるとかけてしまうこともあります。
色艶と質感も良いので愛好者が多いです。
象牙
牛骨ほどではないですが適度に硬さと粘りがあるためチップの素材に最も適しています。
オールド弓には象牙が使われているケースが多いです。
現在はワシントン条約で象牙が輸入できなくなってしまいました。
高級感があり美しいため人気の素材です。
マンモス象牙
法律の関係で象牙が使えないためマンモス象牙が代わりに使われることが増えました。
磨くとどんどん艶がでてきます。
美しく希少なため高級チップです。
プラスチック
安いのでリーズナブルな弓についていることが多いです。
ただし柔らかいため保護したり、くさび穴の変形を防ぐことはそれほど期待できません。
子供用の弓にはプラスチックのチップが使われています。
イミテーション象牙
象牙の代わりに樹脂などで作られたイミテーションチップです。
象牙の持つ硬さと粘り、そして艶などの風合いを再現しています。
象牙やマンモス象牙と比べると安いのが魅力です。
チップの役割
チップは弓の先端の大抵の場合は白く三角の部分(金属の場合は銀色だったりもします)ですが、役割は大きく2つあります。
- 先端の衝突安全パーツ
- クサビ穴の拡張防止
先端が譜面台などにぶつかった時に保護する役割があります。もう一つチップには大切な役割があります。
弓の毛は先端を木でできたくさびで留めています。
弓毛の束を台形の穴に押し込めてくさびで留めるのですが、取れないようにきつく押し込むため、もしチップがないとくさび穴が変形してしまいます。
プラスチックなど柔らかい素材のチップだと、くさび穴の入り口が変形してしまいます。
穴が変形するとくさびが緩んでしまうため注意が必要です。
チップが欠けたり外れたら
チップが欠けたり取れたりすると、弓の先端のプロテクターがなくなってしまうわけですから、弓全体が損傷を受けてしまいます。
ですから、チップが傷んだらなるべく早く交換しましょう。
演奏中というよりは、それ以外の時、椅子や譜面台にコツンと弓の先端があたってしまうのはよくあることで避けられません。
チップが欠けてしまったら、基本的に交換が必要です。
全体が剥がれてしまったら、すぐに修理に出せばそのまま剥がれたチップを接着してくれます。
チップの交換が必要になったら、弓を購入する際についていたものと同じ素材のチップを選ぶといいでしょう。
弓の製作者は全体のバランスを考えてチップを取りつけているからです。
もし、違う素材のチップに交換したい時は、チップの厚みを調整することでバランスを取ることができるので工房や楽器店で相談してみてください。