バイオリンをされている方の中には少しは聞いたことのある名前かもしれませんが、製作者でなければ詳しくは知らない方も多いと思います。
ただ、彼の残した功績は、現代の美しいバイオリンを皆さんが手にすることができている礎となるもであったことを、今回ご紹介していきたいと思います。
ニコロ・アマティとは
ニコロ・アマティは、バイオリン製作を手掛けたアマティ一族の中でももっとも素晴らしいバイオリン製作家として知られています。
1596年に生まれたニコロ・アマティは、弦楽器製作の祖ともいわれるアンドレア・アマティを祖父にもちます。アンドレア・アマティに技術を伝えたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチに近い木工職人だと言われていますが、この頃のことはよくわかっていません。
アンドレアの息子、ジローラモの息子として生まれたニコロ・アマティは、弦楽器製作を行う一家の後継者として多くの名器を製作しました。
アマティ・モデルと言われ現在にも伝わるその伝統的なデザインはニコロが作り上げたとされており、柔らかい優美な音色がその特徴となっています。
バイオリンの他、チェロやコントラバスの製作も行っており、その作品が残されています。
ニコロ・アマティには子どもがいたもののバイオリン製作を受けつぐ子どもになかなか恵まれず、結局アマティの工房を継ぐのはニコロが50歳を超えて生まれたイエロニヌス・アマティ2世になります。
19世紀ごろまではニコロ・アマティのバイオリンは数多く使われていて、バイオリンの愛好家に愛されていましたが現在では保存状態の良いものはあまり残っておらず、希少な存在です。
ニコロ・アマティの功績
ニコロ・アマティの功績は、アマティ・モデルとも呼ばれる完成度の高いバイオリンのデザインを作り上げたことだけでなく、その技術を弟子たちに教え込み、バイオリン製作の技術の後継・進歩に大きな貢献をしたことにあります。
- 完成度の高い今のバイオリンを作り上げたこと
- スキルの継承を積極的に行ったこと
その弟子には、アントニオ・ストラディバリウスや、アンドレア・ガルネリなどもいて、彼らも後に世界にその名を残したバイオリン製作家となるのです。
今でこそストラディバリウスが世界で最も有名なバイオリンと言われますが、その師匠であったのはニコロ・アマディであり、その技術がなければストラディバリウスのバイオリンも生まれなかったということを忘れていけません。
後継者となる子どもに恵まれたのが遅かったとはいえ、持てる技術を弟子に惜しみなく伝えたニコロ・アマティの功績は非常に大きいと言えるでしょう。
有名な弟子たち
- アントニオ・ストラディバリ
- アンドレア・グァルネリ
- パオロ・グランチーノ
- アレッサンドロ・ガリアーノ
- フランチェスコ・ルジェッリ
ニコロ・アマティの評価
現在でもニコロ・アマティのバイオリンは世界的に非常に高く評価されており、その作品は数億円以上の価値があるとされています。
今に伝わるアマティ・モデルのバイオリンの中でも最高傑作ともいえるものを作ったのはニコロ・アマティであり、現在でも一族で最も優秀な製作家として伝えられているのです。
すでに400年以上の年月を経ても、ニコロ・アマティの作ったバイオリンの響きは美しく、多くの演奏家に愛されています。