古い楽器のバイオリンの裏板の内側にあるパッチとは?

古いバイオリンの中を覗くと、裏板の中心線上に薄くて小さな板が貼ってあることがあります。

このつぎはぎのように見えるのはパッチです。

パッチとは

バイオリンの表板は二枚の板を天然素材の接着剤ニカワで接着して作られています。

中心に入っている線は接着面です。

ですが、経年により接着は緩んでしまいます。

また湿度や温度の変化により板が割れてしまうこともあります。そんなとき、修理に使うのがパッチと呼ばれる薄い板です。

パッチは厚さ1、2ミリ、1辺が1センチ弱の小さな木の板です。

裏から薄いパッチで貼り合わせることにより補強しているのです。

職人の手作業による丁寧で繊細な仕事です。

パッチはパッチワークなどのパッチです。

布をつぎはぎする手芸をパッチワークと言いますが、まさにバイオリンのパッチにもつなぎ合わせる、あて木をするといった役割があります。

パッチが貼ってあるのは価値あるオールドバイオリン?

確かにパッチは古いバイオリンによく見られます。

ですが、なかには製作されたときからパッチで補強されている場合もあります。

パッチが貼ってあるからといって必ずしも価値の高いオールドバイオリンであるとは限りません。

場合によっては、技術が未熟なためにニカワだけではしっかり接着できず、パッチで補強しているケースもあります。

パッチがバイオリンに及ぼす影響は?

パッチは補強材であって、バイオリンの音質を良くするためのものではありません。

実は、パッチを貼ることで音質に悪影響を及ぼすこともあります。

パッチを貼ると質量が増えて振動の障害になります。

ですから、腕の良い職人はできる限り薄く小さいパッチを使って、必要最低限の数で修理します。

そのようなわけで、本来は新しいバイオリンにパッチを使うべきではありません。

本来は新作のバイオリンに使う必要がないパーツなのです。

新しく製造されたものなのにやたらとパッチが貼ってある場合は、良いものとは言えません。

これは良いバイオリンを見分ける一つの目安にもなります。

木片以外のパッチ

パッチの役割は補強ですから、薄く小さなパーツであれば材質は木でなくてもかまいません。

木の代わりに羊皮紙や日本ならば和紙を張るといった手法もあります。

パッチによる補強は職人の熟練の技によります。

ニカワをお湯で緩めて開いて、再修理しなければならないので高い技術力が求められます。

オールドバイオリンに良く見られるパッチ。

高価なオールドバイオリンを購入する際には、内側のパッチを見て修理状態を確認することをおすすめします。

丁寧に修理されているかどうかで、良い状態に管理されていたものかどうかを知る一つの目安となります。

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