バイオリンは、本体に貼られた弦を、弓で擦ることによって音を出します。
そのため、この弓の品質の非常に重要です。
バイオリンの弓に使われている弓毛は、馬のしっぽの毛が使われており、モンゴル産、イタリア産、日本産、カナダ産など馬の産地によってそれぞれ特徴があります。
寒いところで育った馬のほうが、しっぽが丈夫で弓に適していると言われます。
一本の弓には、馬のしっぽの毛を160本から180本ほど使用しており、毛の太さや強度、弾き手の好みによって調整を行います。
弓は使っているうちに緩んだり切れたりするため、プロの演奏家や音大の学生など、毎日長時間弾く場合は年に4~5回、アマチュアの方でも年に2回程度の張り替えが必要となります。
こちらでは、弓の産地による特徴などを解説していきたいと思います。
モンゴル産
モンゴル産の馬毛は、最もよく使われているスタンダードなものです。
価格もお手頃で、多くの人が使っている弓には、このモンゴル産の馬毛が使われています。
もちろんモンゴル産の中でも品質にはかなり違いがあり、上質な白馬の毛は高級な毛で高価になりますが、好んで使う人も多いです。
弓に使う毛は白馬の毛が最も良いとされるのですが、漂白をするとかなり傷んでしまうため天然の白馬の毛が使われます。
白馬は数が少ないため、希少性も高く、高品質な白馬の毛は効果になります。
カナダ産
カナダ産の馬の毛は、サラサラして滑らかなものが多いのが特徴です。
しなやかで指通りが良く、繊細な音色になるため好んで使う人も多い毛になります。
日本でもたくさんの弓に使われており、レスポンスの良い弾き心地を好む人に特に人気です。
イタリア産
バイオリン製作の本場、イタリアで産出される馬の毛は、強度が高く、それでいてしなやかさも併せ持った高品質な弓毛になります。
華やかな音色を奏でるのが特徴で、レスポンスも良いため、弾いていて非常にバランスの良さを感じる弓です。
生産量が多くないため希少性が高く、価格は高めになります。
産地だけでは判断できない
弓の毛にどれを選ぶかは、バイオリンの音色には関わる重要な問題ですが、産地だけで選ぶことはできません。
高い弓ほど良い音が出るとは限らず、バイオリンとの相性もありますし、弾き手の好みもあります。滑らかで弓で柔らかく弾くのを好む人もいれば、しっかりした弓で大きな音を出したい人もいるでしょう。
好みに合わせて弓を選ぶことになります。
弓の毛は白が良いとされますが、それは白馬の毛がよいということであって、白くない毛を漂白したのでは意味がありません。
そのため、実際に演奏家は真っ白の弓よりも、ややアイボリーがかった弓を使っているのを見かける方が多いでしょう。