「学問に王道なし」という言葉があるように、バイオリンもいかにたくさん練習したかで上達が違ってくるものです。
とはいえ、ただやみくもに時間をかけた練習は効率的ではありませんし、それでは忙しい人は楽器などを学ぶことはできなくなってしまいます。
練習は、遠回りすることなく効率良く行えれば、短い時間で上達することができるのです。
そんな時短練習にオススメなのは、頭を使った練習です。
決められた音階練習をもくもくとこなすのではなく、しっかりと自分の頭で考えながら練習を行いましょう。
考えるのは、今自分の出した音が高すぎたか低すぎたか、小さかったか大きかったか、などということです。
もしも高すぎたのではあれば、どのくらい高かったのかを考えます。
そして、どのようにすればより理想的な音の高さで弾くことができるのかを考えましょう。
このように、何が今の自分にとっての問題点なのか、また、どうしてそのようになっているのか、そして、どうすればより良くなるのか、といったことを考えることが大切なのです。
理想的な練習時間とは
しかし、理想的な練習時間も気になるのではないでしょうか。
プロになった方は、毎日5時間、休みの日は10時間などという事も聞いたことがあると思います。
かの有名なバイオリニスト、ミルスタインが教師に尋ねたところ、返ってきた答えはこうです。
「1時間半でOKです。ただし、頭を使って練習していれば、です。」また、「バイオリニストの王」と称されたハイフェッツの練習時間は1日3時間だったのだといいます。
彼は、「練習のし過ぎは練習不足と同じだ」という言葉も残しています。
なお、当工房の看板娘は「1日30分以上の練習はしなくてよい」という決まりのもと練習しています。
ポイントは、「しなくてはいけない」ではなく「思考停止しない範囲の時間以上はしなくてもよい」という事です。
長時間練習の問題点とは
では、長時間練習することによる問題点を挙げてみましょう。
- 単なる反復練習で悪いクセがついてしまう
- 完成イメージが持ちづらくなる
- 練習をこなすことが目的になってしまう
何も考えることなく反復練習をして悪いクセがつくのはよくあることです。
すると、そのクセを取り除くためにそれ以上の練習が必要になってしまうこともあります。
また、長時間練習というのは完成イメージを持たずに行ってしまいがちです。
すると、心に不安の種をまいてしまい、あろうことか本番でそれが現れてしまいます。
そして、膨大な練習は、それをこなすことで精一杯になってしまい、いつのまにか「こなすこと」自体が目的になってしまいます。
これでは内容が薄くなるのは当然のことでしょう。
ゆっくり練習する大切さ
また、頭を使うことと同じくらい大切なのは、ゆっくりと練習することです。これは教師が良く言う練習法です。
例えば3回速く弾くよりも、1回でいいからゆっくりと練習した方がよっぽど効果が上がるはずです。
ゆっくりと弾くと、音の細かな部分まで気を配ることができるので、より細部まで頭で考えながら練習することができるようになります。
すべてを理想通りに弾けたら、少しずつスピードを上げてくと良いでしょう。