バイオリンとピアノどちらか1つ習うとすればオススメはどっち?

別の記事で、『バイオリンとピアノを両立できるかどうか』や、『バイオリンとピアノを両方習うメリット』についてまとめてきましたが、皆さま様々な事情で『どちらか一つだけ習うとした場合はどちらがおすすめですか』という質問もたくさんいただいておりますので、まとめることにいたしました。

結論からお伝えすると“ピアノ”です。

『え!?バイオリン工房の工房長がピアノを勧めるのですか!?』

というご意見を頂きそうですが、私はバイオリン工房を経営している立場であっても、まずはピアノだと考えています。

しかも、科学的根拠に基づいてです。

ということで、こちらのページでは、バイオリンよりまずはピアノを習うべき理由について、科学的根拠を交えて、お答えしてまいりたいと思います。

ピアノをオススメする理由

もちろん、別の記事でもご紹介した通り、両方習われることをお勧めしていますが、『ピアノかバイオリン、どちらか1つ選ぶ必要があります』と言われると、(まずは)ピアノを習うことをオススメしています。

その理由は、『基礎スキルが身に付きやすい』から、これが最大の理由です。

音楽の大切な基礎スキルが身に付きやすい

バイオリン工房という私の職業柄、バイオリンを習われている多くのお子様の演奏を拝見する機会に恵まれてており、その子たちのバイオリンの演奏を拝見させていただく際に100%とは言いませんがピアノの経験を事前に又は同時にされているお子様は相対的に“リズム感”と“音感”に優位性を感じることが多いです。

『いやいや、バイオリンも基礎練習をちゃんとすれば大丈夫ですから!』というお叱りを頂きそうですので、あらかじめお伝えしておきますが、確かにピアノもバイオリンも正しい基礎練習をすればリズム感や音感を身に付けることができます。

しかしながら、そこには2つの科学的根拠に基づいた習得難度の差異が存在しており、習得速度にも影響するため、どちらかを選んでくださいと言われた場合のみピアノを選択するということになります。

リズム感がピアノのほうが早く身に付きやすい理由

ここには、人間の筋肉仕組みに理由があります。

人は腕だけで押す力と引っ張る力には差異があるのはご存知でしょうか。

押すときは主に二の腕といわれる部分など外側の筋肉を、引っ張るときは主に力コブといわれる内側の筋肉を使います。

この両者の力の差は運動速度にも微妙な差異を生じさせてしまう要因となります。

ピアノは発音するときに一方向の筋肉しか使わないことから比較的一定のリズムを刻みやすくなります(難曲になり薬指や小指を多用する曲となると話は別です)。

それに対して、バイオリンは発音する際に押す筋肉と引っ張る筋肉の両方を使うためリズムに差異が出やすくなります

この差異から、ただ単純に一方向の筋肉運動とメトロ―ノームのリズムを合わせる行為と、押し引き両運動とメトロノームのリズムを合わせるのでは、格段に後者のほうが難易度が高くなってしまうのは言うまでもありません。

余談ですが、この違いはスポーツでも同じで、プロアスリートでも筋肉を思い通りに動かすことができず、まっすぐにボールを投げることができなかったり、思った場所と微妙に違う位置に着地したりするなど、思い通りに筋肉を動かすことができないことから生まれる差異が影響しているといえます。

音感がピアノのほうが早く身に付きやすい理由

日本人が育った環境により後天的にLとRの発音が聞き分けれ無くなったり、その後に逆に聞き分けれるようになったりすることがあります。

実は、この事と根幹は同じことが原因となります。
※先天的な絶対音感の方を除いての場合の考え方となります。

ドレミファソラシ(ド#レ#ファ#ソ#ラ#)の12の均等に整った周波数の音

ピアノの場合、基本的には平均律音階以外の音がならず、知らず知らずの間に12平均律の周波数を記憶してしまいます。(幼い頃から多くの良質な音楽を沢山シャワーのように聴いて育つこともこれに類似する効果を生みます)

それに対して、バイオリンは音と音の間に境界線のようなものがない楽器のため、12平均律以外の音が鳴らせてしまいますので、12平均律を感覚的に覚えていない子供たちにとっては多少の音ズレでは認識できない場合が出てきてしまいます

この差異は、個人差はあれど、後天的に差を縮めることも可能とされていますが、12平均律の音を意識しながら聞く回数や頻度が多ければ多いほど早期に身に付きますので、ピアノのほうが有利であるといえるでしょう。

ワンポイントアドバイス

ちなみに、音を覚える効果的な方法は聞くだけではなく、ピアノの音に合わせて声に出してドレミファソラシドの音程を発音することで脳が複合的に音を認識して複数の引き出しから正しい音の高さを引き出してくれるようになります。

バイオリンは全て不利なのか

では、バイオリンは全てが不利なのかと聞かれると、決してそうではありません。

バイオリンには、前述したとおり音と音の間の音、ピアノに表現できない音の幅が存在します。

また、これは人の声のようや揺らぎなど、表現力を養う上では非常にメリットの大きな楽器と言えます。

その他にもバイオリンを習うことによるメリットは多く存在しますが、そうしたバイオリンのメリットを最大限に引き出すためには、同時にピアノとバイオリンを習うか、まずはピアノやリトミックで基礎的な音楽スキルを身に付けてからバイオリンに取り組むことがバイオリンの上達の近道と言えます。

皆さんも、トライできる環境であれば、ピアノとバイオリンを合わせてチャレンジしてみてください。

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