バイオリンを愛する一人の職人として、バイオリン美術館に訪れる機会がありました。
バイオリンに関わる方も関わらない方にもおススメのスポットとなりますので、ご紹介させて頂きます。
三朝バイオリン美術館の概要
三朝バイオリン美術館(Misasa Violin Museum)は、鳥取県のちょうど中央部である東伯郡(とうはくぐん)三朝町(みささちょう)に、1984年に開館しました。
ここを国内有数のバイオリンの聖地として位置づけ、三朝町の地域振興を図ることを目的に「みささ弦楽プロジェクト」が2013年より管理し活動している美術館となります。
展示について
1階にヴァイオリンや弓に使われる木材の種類や馬毛、作業用工具や塗料ニスなどが展示されています。バイオリンや弓がだんだんに組み立てられて行く工程や、各個人に合わせていろいろな調整がなされるセッティングについて、また修理・修復についての展示もされています。
コンサート会場
美術館の2階は豊かな音響を備えたコンサート会場になっています。
有名なソリスト等のバイオリン奏者を招いて定期的にリサイタルを開催しており、特にクリスマス等のイベント企画は人気を博しています。
同時に演奏体験ができるバイオリン体験レッスン(有料・入館料と別途)も開催されています。
音楽を糧として豊かな心を育んでいただくための施設で、地域の方々をはじめ多くの方々の憩いの場所として親しまれています。
三朝バイオリン美術館おすすめの理由
弓を含めバイオリンでこれだけの展示は他には類がなく、作成や修理を行う人だけではなく楽器店などの販売に携わる人や、実際に演奏する人も一度は訪れるべきところでしょう。
楽器の内側がどうなっているか?をはじめ、数々の工程やどれだけ手間暇を掛けて作られているかがわかるだけでも価値のある経験となることでしょう。
1500年代にバイオリンが生まれてこのかた、数々の楽器職人が携わり製造工程や塗装等の改良を施してきた伝統的な「工芸品」であることが理解できますし、そうすれば取扱いや演奏にも真摯に取り組めると言うものです。
同時にバイオリンは設計段階から修理することが考えられており、修理や修復は制作とは全く異なるものであることもわかります。
ちょうど絵画や彫刻を作成する芸術家と、それを修復する修復家や学芸員の違いと言えばわかるでしょうか?
鳥取バイオリン制作学校
美術館には鳥取バイオリン制作学校が併設されています。これも三朝町の地域振興策の一環です。
学校と言っても先生と学生という関係ではなく、親方と弟子という職人気質を身体に浸みつかせるための徒弟制工務店と言った感じで、新入生は年間4名、少数精鋭を育てる国内でも数少ないバイオリン製作学校となります。
整理、整頓、清掃、清潔、躾の5Sを仕事の基礎として作業に取り組み、切磋琢磨して4年間で一人前の職人になることを目指します。
厳しさの中にも全員を家族とする温かさや「同じ釜の飯を食う」昔ながらの職人気質のよさを体験できる貴重な学校と言ってよいでしょう。
やる気と決意さえあれば、年齢や学歴は一切問われません。
おすすめポイントまとめ
演奏家の方や修復家の方など、ヴァイオリンに関わるか方でなくとも楽しんでいただける施設です。
少しアクセスは遠いですが、澄んだ空気の中で見るヴァイオリンや、ときより開催される演奏会を楽しむのは素敵なものです。
- 製作工程や構成パーツが内部までわかる
- 製作道具や修復道具が見れる
- わからなくてもニスの奥深さに触れることができる
- 製作学校があり美術館だけでなく製作現場も楽しめる
- 素晴らしい音響ホールでの演奏が聴ける(演奏予定は公式サイトにて)
ぜひ、皆様も訪れてみてください。