車は走っているうちにタイヤ摩耗していき凹凸が徐々になくなって、つるつるになってしまいます。
そうなる前にタイヤ交換をしないとブレーキが効かず危険です。
バイオリンもタイヤと同じように、使っているうちに弓の毛が摩耗していきます。
弓がつるつるになると、しっかりと弾くために体の筋肉に緊張が生じコリが生じたり、筋を傷めることもあります。
そうなる前に弓の毛替えをしなければなりません。
弓毛の量が違うのはなぜ?
確かに、毛替えを行う工房や楽器店によって弓の毛の量は異なるように思えます。
大きな差はありませんが、どれも同じというわけではありません。
多ければ良いというわけでも、少ないと損をするわけでもありません。
毛の量を調節するのには理由があります。
毛の量と張りの関係
弓の毛の量は、なんとなくちょうど良いかなと感じるものは、一般的に150~200本ほどです。
基本的に、毛の量が少ない方が弓の張りがよくなります。
これは毛の長さが揃えやすくなるためです。
たとえば、2本の毛を揃えて同じ長さにするのは簡単ですが、100本、あるいは200本の毛を揃えてすべて同じ長さにするのが難しいという原理を考えれば用意に理解できるはずです。
このように、毛の量によって張りを調節することができます。
毛の量が少なければ張りが揃いやすくなりますし、毛の量が多いと毛のバランスが崩れやすくなります。
では、少ない方が良いのかというと、少なすぎると毛がほんの数本切れただけでも演奏できなくなりますし、音が弱々しくなってしまうというデメリットもあります。
弓の毛替えの頻度は?
音大生やプロの演奏家の方は2、3ヶ月に1回の頻度で弓の毛替えを行うようにおすすめします。
趣味で弾いている方、アマチュアの方は半年に1回程度の頻度で毛替えを行うとよいでしょう。
毛替えをしないで使い続けていると、毛が伸び切ってしまいます。
馬の毛は湿度や温度によって伸び縮みします。
湿度が高くなり始める梅雨の始め、または乾燥しやすくなる秋ぐちに毛替えすることをおすすめします。
工房により毛の量は違うのか?
弓の毛の量や長さは、工房や楽器店によって違うというよりも、弓の強さ、または新しい弓なのかそれとも古い弓か、反りの深さなどにより量を微妙に調節します。
弓は非常にシンプルな作りですが、その分バランスの調整が必要です。
ドライに分数サイズによって分量を決める方もおられますが、弓の性能を考えたうえで、それぞれの職人たちの感覚で毛の量や長さを決めることが多いです。
ですから、工房により毛が多い、少ないということは言い切れません。
馬毛の量によって、音に違いが生じます。
ですから、多めが良いのか少なめが良いのか、工房と相談しながら調整しましょう。
演奏者の要望に応えてくれます。