バイオリンの量産品と手工品の違い

  • 2020年1月15日
  • 2020年1月18日
  • 楽器
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バイオリンには、手工品と量産品が存在します。

バイオリンを選ぶ際に「量産品と手工品のどちらにするか?どちらがよいか?」など、誰もが考えることでしょう。

イメージとしては、量産品=安くて質があまりよくない、手工品=高くて質が良いとなりがちですが、果たして本当にそうなのでしょうか。

何となく、手工品の方が良いと考えておられる方もおられるでしょうが、実は一概にそうではないことを知らずに、「ハンドクラフト(手工品)だから高いけど、こちらを買おう」などという感覚で購入を決めてしまうと、失敗してしまいます。

ここでは、そんな手工品と量産品の違い、そして選び方の注意点について詳しく解説していきたいと思います。

量産品のバイオリンについて

バイオリンの量産品というのは、確かに同じタイプのものをいくつも作っています。

バイオリンは繊細な楽器ですから、量産品といっても、それらは各パーツを作る職人が違うだけという場合が多いです。

工程によっては、機械で自動作業されてしまう部分も少なくありません。

全てが当てはまるわけではありませんが、量産品には下記の特徴の多くが当てはまる場合が多いです。

  • 比較的安価である
  • パーツが一般的で修理対応が効きやすい
  • 表板や裏板を熱で曲げるプレス加工で作られることが多い
  • 板は加工中に割れないように厚めに作られているため重い
  • ニスの塗装方法はスプレー塗装によるものが多い
  • 上記の事から手工品より音の鳴りが劣るものが多い
  • 近年はコンピュータやAIによる設計で高度な音響効果のある品も増えつつある

もちろん、ものすごく安く作成するために、流れ作業のように、単発のアルバイト作業員のような人材によって作られるバイオリンもありますが、それは、楽器店などで聞いてみればすぐにわかるので、購入する際に確認するといいでしょう。

完全な手工品のバイオリンについて

バイオリンの手工品は、文字通り職人がパーツの一つ一つを手作りするもので、つまり、同じものは存在しないことになります。

手工品の良いところ

  • 細部まで細やかな作業がされており美しい
  • ボディも鳴りを重視するため薄く仕上げられている
  • 弾き込むことで、より良い音色に変わっていく
  • ニスは手塗りで使うほどに味わいが出る

手工品のリスク

  • 比較的高価である
  • 職人の腕次第で良くも悪くもなりえる

手工品は、その職人の腕や知名度によって、値段が全く違います。

ストラディヴァリウスのような歴史的価値の高い手工品となれば、価格は億を超えますし、近代の職人による手工品であれば、安くても50万円以上という感じになっています。

腕の良い職人が作るバイオリンは、音色や響きが全く違いますから、質の良さは値段に比例しているとわかるでしょう。

バイオリンの量産品と手工品を選ぶときの注意点

バイオリンの量産品と手工品の違い、それは、作る職人の違いや値段、質ということはさきほどもお話ししましたが、決して、陥ってはいけない考え方や注意点があります。

陥ってはいけない考え方

  • 量産品は質が悪くよくないものがほとんどという考えは禁物
  • 中国製だから造りが悪いという考えは禁物
  • 高い品が良いという考えは禁物

量産品や中国製といっても、最近は質の良いバイオリンが多くなりましたし、修理をする点でも、パーツごとの職人が違うことで、手工品に比べるとメンテナンスしやすくなっています。

また、量産機でも、コンピュータやAIによる音響シミュレーションなど最新の技術で設計され、感覚だけで作る職人より圧倒的に理論値の高い結果を出すバイオリンも増えています

一方、手工品の場合、作る職人が一人ですから、修理の際にはやや時間がかかり、パーツも同じものがないですし、それをまた手作りすることもあるので、時間や費用が掛かってきます。

職人の知名度

手工品のバイオリンを選ぶ際には、作っている職人の腕や知名度をしっかりと確認することが必要です。

どんなに手工品がよいといっても、それは職人の腕がすべてです。

下手な職人のバイオリンは、量産品よりも質が落ちますし、購入してしばらく使うと、修理が必要になるケースが後を絶ちません。

価格の妥当性

量産品を選ぶ際には、値段が妥当で、使いやすさを重視しましょう。

一般的に「良い楽器」といわれているのは、その楽器の質と金額が一致しているものです

金額が高い=良い楽器と勘違いしそうですが、価格がお手ごろで使いやすく音色もよいというのであれば、それは立派な「良い楽器」です。

量産品がよくない楽器で、手工品がよい楽器というイメージは、今のうちに払拭しておきたいところです。

とはいえ、近年では、中国で無名の職人による完全趣向性のお品で、非常に良質なものが安価に手に入れることができる時代になりつつありますので、選択肢の一つとしても良い時代となりつつあります。

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