バイオリン制作で欠かせないのが木枠です。
この木枠には外枠式と内枠式とがあります。
その名前通りで、外枠はクッキーの型のように外側からバイオリンの形を模った枠で、内枠はそれの逆で、内側のクッキー部分が枠の実質で、それに沿って作るような枠です。
正直、どちらがいいかという断言はできません。
性質的には次のような特徴があります。
内枠式
内枠式は制作に時間がかかります。
手工芸向きです。
内側の型は多くの型や種類があり、作家によってもそれぞれです。
外枠式
外枠式は制作時間が早いと言うメリットがあります。
ですから、量産型のバイオリンのほとんどが外枠式で作成されています。
この内枠式より完成品の質が落ちるというわけでは決してありません。
しかし、製作が簡易と言う面が質に関わると考えている人ももちろん多くいます。
見た目でわかる外枠式と内枠式
外枠式と内枠式では見た目にも内部構造にも違いがあります。
エッケ
エッケと言われる横板の尖った部分のつなぎ目が違いがあり、外枠式にはその部分に切れ目がありますが、内枠式にはありません。
ブロック(クロッツ)
目に見えない箇所で、オープンクローズした時に見えるブロックの造りも違ってきます。
ブロックがエッケの内側の先端まで詰まっているものが内枠式で作られたものとなります。
その点から、丈夫さは内枠式が丈夫と言えるかもしれません。
あくまで製造方法の違い
外枠式と内枠式はあくまで製作方法の違いで、それがバイオリンの質のすべてを決めるわけでもありません。
技術の進歩で外枠式も高い品質のものが多くあります。
そもそもバイオリンの構造は、アマティやストラディバリウスの段階で完成したとされています。
そこを基本として多くの作家やメーカーが切磋琢磨しバイオリンを作っているといっても過言ではないのです。
ですから、アプローチの仕方が違うだけで、外枠式も内枠式も目指すところは同じなのです。
大事なのは音色
観賞用として購入する場合は話が別ですが、使用する場合であればバイオリン選びにおいて外枠内枠にそこまでこだわる必要はないです。
観賞用であればつなぎ目が綺麗な工芸品として作られた内枠式のものを選ぶ方が満足のいく買い物となるでしょう。
演奏のパートナーを選ぶ場合は、お店に行ったらあまり外枠式か内枠式かについて神経質にならず、まず実際に弾いてみることが大事です。
張りがあり低音が響く音色であれば、どんな作られ方でもいいんです。
忘れてはならないのは音色がバイオリンを選ぶ一番の基準であるということなんです。
もし自身で弾く技術がなくても弦楽器専門店であれば、店員さんに弾いてもらうこともできる場合が多いので頼んでみてもいいと思います。
それに、試奏は特別複雑な技巧の曲で試さなくてもボーイングで充分わかります。
参考までに外枠式と内枠式を俊樹として頭に入れて置き、バイオリン選びの参考程度に覚えておかれるといいかと思います。
バイオリン作家から直接買う際は、どちらか聞いてみるなどすると作家は色々丁寧に制作過程を教えてくれる場合もあるので、頭にとどめておくと役立つかもしれません。