バイオリンを始めると誰でもぶつかるのがチューニングの壁です。
ピアノと違い、自分でチューニングしなくてはいけないバイオリン。
場合によっては、弦圧が安定するまでは、演奏ごとにチューニングしなおしたりすることもあり、ビギナーにとっては、大変な印象を受けてしまう作業です。
しかし、正しい音程は演奏に絶対欠かせません。
ここでは、そんなチューニングについてまとめておきたいと思います。
チューニングの基本知識
まずは、基本的な事からご紹介したうえで、具体的な方法へ進んでいきましょう。
バイオリンのチューニング音階
バイオリンのそれぞれの弦を開放弦で鳴らした時の音が下記の音になるようにペグを回してチューニングします。
一番細い弦がE線、一番太い弦がG線となります。
- E線(1弦):ミ
- A線(2弦):ラ
- D線(3弦):レ
- G線(4弦):ソ
バイオリンのチューニングピッチ(基準音)
バイオリンは基本A=442Hzを基準に合わせていただきます。
こだわる方の中にはチューナーの音程は平均律であって純正律ではないから信用してはだめだという人もいます。
もちろん絶対音感などを用いていて絶対的な自信がある場合はそれでもかまいません。
しかし、それ以前にまったく音階から外れていて演奏に適してないままの状態も多いです。
ですから、平均律でも音階を合わせていくことに焦点を絞りチューニングすることをおススメします。
チューニングするためのツール
バイオリンをチューニングするための道具はたくさん存在しますが、個人的には、デジタルチューナーがおすすめです。
- デジタルチューナー(アプリでも代用可能)
- 鍵盤(ピッチ調整機能の付いた電子ピアノ)
- 調子笛(ピッチパイプ)
- 音叉(チューニングフォーク)
デジタルチューナー
バイオリンのチューニングをするための道具としてスタンダードなものに、クロマティックチューナーというものがあります。
これは半音単位の音程が確認できるチューナーで、多くのチューナーにはマイクが内蔵されていて、出した音の音程を表示してくれるので正しい音程に合わせやすいです。
機能として、ピッチ(基準音/ヘルツ数)を調整できるものである方が良いです。
鍵盤を使ったチューニング
鍵盤楽器からも正しい音程がなるので有用です。
しかし、アコースティックピアノの調律は基本的にA=440Hzで合わせてあるので、バイオリンのチューニングに使うためには調律しなおさなくてはならなくなります。
そもそも、音がズレている可能性もございます。
ですから、ピッチ(基準音/ヘルツ数)の調性ができる電子ピアノなどが有用です。
調子笛を使ったチューニング
調子笛(ピッチパイプ)をつかったチューニング方法もあります。
4か所ある吹き口からそれぞれE・A・D・Gの音がでます。
その音に合わせてチューニングしていくだけで使いやすいです。
持ち運びも簡単ですし使い勝手はいいのですが、自身の吹き方によって音程が変化してしまいます。
正確な調律には不向きなアイテムといえるでしょう。
ある程度のチューニングは調子笛でやって、最後の仕上げにチューナーを使用するのもアリかと思います。
音叉を使ったチューニング
音叉(チューニングフォーク)は、日々携帯しておくと便利です。
周囲に気づかれず基準音を聞いてトレーニングすることもできますし、よほどのことが無ければ、音がズレることはありません。
ただ、ピアノやピッチパイプと同じように、バイオリンからなる音が、音叉と同じ音かどうかを認識するだけの基礎能力は必要です。
チューニング際の注意点
チューニングの際には、今チューニングしている弦の音ばかりに気を取られて、他の事を忘れがちになりますが、安全に正しい調弦をするには下記の点にも注意しながらチューニングされることをおススメします。
駒のずれ
チューニング中は駒への注意がそれがちです。
弦を張っていくと、駒が歪んだり最悪倒れてしまいます。
駒は音の要です。
チューニングの際は常に駒に確認し場合によっては両手でしっかりと駒のブレを修正していきましょう。
急いでいても少しずつ慎重に行いましょう。
駒が倒れてしまえば中々自身では直せませんし、表面が傷ついたりする可能性もあります。
他の弦の音程がずれる
一本ずつ合わせて行ったらはい終り、とはならないのがバイオリンです。
ギターなどでは一本調整したらそこはもう完成とみなしますがバイオリンは1本調整すると他の弦の音が下がります。
これはバイオリンの構造上仕方ないのですが、常に浮いた状態のテールピースに固定されている弦は、1本の弦が引っ張られると他の弦は緩んでしまうんです。
ですから、4本を根気強く微調整していく必要があります。
1本1本をある程度合わせてから、最後にすべての弦を正しい音程に合わせていきましょう。
新しい弦にしてからは段々と弦が安定してきます。
演奏前にサッとチューニングできるようにもなってくるので安心してください。
弦が切れる危険性
ペグを回しすぎると弦が切れる場合があります。
この場合勢いよく切れた弦はとても危険です。
チューニングの際は不用意に顔を近づけすぎたりするのはやめましょう。
できれば最初にある程度ペグを緩めてからチューニングするといいです。
ペグはぐっと押し込みながら回します。
押し込みが弱いとペグが巻き戻ってしまったりするためです。
アジャスターの使用
最後にE線をアジャスターで微調整できます。
あくまで微調整用のものですのでアジャスターでチューニングするのはやめましょう。
弦のバランスが崩れ駒に負担をかけてしまいます。
駒が倒れてしまうと、飛び出したアジャスターが板を傷つけてしまう可能性があるので気を付けましょう。
アジャスターが飛び出していないかは気を付けて見ておくようにしましょう。
あくまでペグメインでチューニングし、必要であればアジャスターを使いましょう。
ペグの不調
時にはペグが固くなって動きにくくなる場合があります。
ペグコンポジションという専用の潤滑剤があります。
ペグは大気によっても固くなりやすかったりするので、適宜潤滑剤を使用しましょう。
一方、滑りやすくなり回してもすぐ緩むという場合があります。
これもペグコンポジションを塗ると落ち着く場合がありますし、あるいは他のぺグコンポジションを塗ると落ち着いてくることもあります。
弦の巻き方でも過度な滑りを抑えられる場合があります。
ペグボックスの壁に弦があたるように巻く巻き方です。
摩擦が増えて滑りにくくなりますが穴の位置によっては難しい場合もあります。
チョークをペグと楽器側の穴の擦れる部分に塗布すると滑り止めになる場合があるので試してみるのもいいかと思います。
チューニングはつまづきやすい工程でもありますが、演奏のためには必ず必要になるので正しくマスターしていきましょう。