バイオリンの構成要素は色々あります。
つい目が行きがちなのが、自身でメンテナンスを要する弦や、倒れないよう気を遣う駒、それから形の美しいf字穴などだったりします。
バイオリンの縁の下の力持ちにバスバーという部分があります、バイオリンのバスバーとは、表板の裏面に張られている補強材です。
役割はいくつか存在しますので、解説していきたいと思います。
形状の維持
バスバーはバイオリンの表板の膨らみをキープするための役割も担っています。
いわばバイオリンの梁、船でいう竜骨のようなものです。
バスバーはG線部の裏側あたりにあります。
反対側のE線には魂柱が立っていて、どちらもバイオリンの形を保つ上で大事な役割を担っています。
魂柱とは違いバスバーは20㎝程度も長さがあり、その設置は相当な技術を要します。
正しく接着できていないと表板へ影響を及ぼし楽器の変形に繋がってしまったりします。
音の振動補助
バスバーは表板を支える役割だけでなく、音の振動を助け、音色がよく通るようにする役割も担っています。
ところで、いい音色とはどういったものでしょうか。
個人の見解もあるでしょうが、良い音色として多くの人が評価する基準は「音がよく響くこと」と「低音がよく鳴る」ことも、一つの基準となります。
その上で音の振動が充分に伝わるということは、音色にとってとても重要なことなんです。
弾かれた弦の振動が駒にいき、駒から表板に伝わった振動を更にバスバーが横軸で増幅し、魂柱が裏板へ伝達してくれているんです。
ですから、バスバーが正しく付いていると、バイオリンの奥から届く、太くて豊かな「よい音色」を響かせることができるのです。
バスバーの形状について
バスバーは接着の具合もそうですが、太さや素材でも音色に影響してきます。
例えば厚ぼったいバスバーだと、振動が伝わりにくく音が鈍ってしまうんです。
硬い木を使うと上記と同じ理由で振動を妨げ、音まで硬くなってしまう傾向があります。
太さだけでなく表板を支えるカーブや高さもバスバー作りの大事なポイントです。
バスバーを交換する頻度自体は50年に1度程度と、自分の人生で1,2度程度あるかないかでしょう。
レベルアップに即してバイオリンを買い換えることもあるでしょうし、機会はないかもしれないです。
オールドバイオリンのストラディバリウスも、たいていの場合、現在使用されているものはバスバーが新しく交換されている状態です。
時代によって変遷もありバスバーの形も昔はもっと細かったんだとか。
現役のバイオリンでその当時のバスバーが使われているものは、ほぼ、ありません。
バイオリンの音色を響かせる大切な役割をになっていることには変わりありません。