バイオリンは使っているうちニスは剥がれてきます。
ニスが剥がれたらどうすればよいのでしょうか。自分で補修してもよいのでしょうか。
ニスが剥がれる理由
肩あてを装着する部分や、ネックとの継ぎ目のボディ右側など、手でこすれる部分は摩擦や汗でニスが剥げやすくなってしまいます。
また、ニスが硬すぎると少しの衝撃でニスが割れたり剥がれてしまいます。
さらに、高温になる場所でバイオリンを保管していたり、クリーナーが原因でニスが剥げることもあります。
ニスのトラブル対処法
ここからは、バイオリンのニスがはげたりひびが入った時の対処法をまとめておきます。
ただし、知識としてお持ちいただく内容であり、補修には専門的な知識が必要となりますので、必ず専門の工房へお申し付けください。
摩擦でニスが剥げたときの対処法は
どんなに大切に扱っていても、手で触れる部分は摩擦でニスが剥がれてきます。
ニスの色が薄くなってきたら、コーティングニスを塗って、それ以上ニスが剥げるのを防いでバイオリン本体を保護しましょう。
ニスが剥げると汗などが浸み込んで本体にダメージを与えます。
ニスの色が薄くなってきたり、黒っぽく汚れてきたら、筆を使ってニスで薄くコーティングしていきます。
ただし、ニスが剥げている箇所の修復は、専門の工房でのメンテナンスが必要となります。
ニスの相性などで、より劣化が進行したり、傷が逆に目立ってしまうこともあります。
ニスに細かいヒビが入っているときの対処法
質の悪いニスが使われていたり、高温の中に置いていたり、クリーナーとニスとの相性がよくない場合などにヒビが全体に入ってしまいます。
クリーナーには研磨剤や溶剤が入っていることが多いためニスとクリーナーの相性が悪いとニスが剥がれてしまうことがあります。
クリーナーを使うときは様子を見ながら少しずつ使ってください。
ヒビが入ってしまったら、度合いにもよりますが、ニスの表面を薄く削り、ニスを薄く上塗りし、磨きなおすことで改善します。
ケースの跡がついたときの対処法
良質のニスは適度に柔らかいので、ケースの跡がついてしまう場合がございます。
特に日本のような多湿で暑い夏は、この事象が発生する確率が高くなります。
この場合も同じく、ニスの表面を薄く削り、該当箇所を均一に整えて、上からニスを塗りなおしていきます。
自分でニスの塗り直しをしてもいいかについて
ニスの傷みや剥がれをこまめに補修することは大切です。
ですが、必要以上にニスを塗りなおすとバランスが崩れ、音に影響を及ぼします。
どうしても、自分でやってみたいという場合は、せいぜい1、2ミリ四方の小さい傷や剥がれに限り、必要最小限の補修でとどめてください。
全体的にニスの塗りなおしなど大規模なメンテナンスが必要な場合はプロにお任せしましょう。
ニスが剥がれてくるのはあるていどは仕方のないことです。
特にハイポジションを弾くときなど手で触るのでニスは少しずつ剥がれて薄くなっていきます。
クリーナーとの相性や保管の問題もあります。
ニスが剥がれても対処法を知っていれば慌てることはありません。