バイオリンのe弦に付いてるチューブは使うべき?外すべき?

  • 2020年2月24日
  • 2020年3月4日
  • コラム
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バイオリンの弦を購入すると、短いチューブ(もしくはゴム)が付いています。

結構多くの人がこのチューブを外さずに弦を使用していますが、実は、このチューブは外して使用しないと悪影響が出る場合もあります。

では、なぜ、バイオリンの弦にチューブがついているのか、どのような悪影響が出るのか、メリットとデメリットの両観点から解説します。

弦についているチューブ(ゴム)の役割は食い込み防止

弦に付属するチューブを「音色調整用」と考える人が多いようですが、これは誤解です。

このチューブは、弦が駒に食い込むことを防止する目的で付属しているものです。

特に1弦(E線)や2弦(A線)やスチール弦に付属していることが多いのも、細くて硬い弦が駒に食い込み易いからです。

つまり、弦に付いているチューブは、弦が駒に当たる部分までずらして使うのが正しい使用法ということになります。

駒に弦の食い込みを防止する加工が施されていることが多い

実は、駒の方に弦が食い込むことを防止する加工が施されている場合が多いです。

一般的には駒に薄革を張る手法が用いられますが、象牙・黒檀片を駒に埋め込む加工が施されていることもあります。

弦に付属するチューブはあくまで駒への食い込みを防止する目的のものですので、あらかじめ食い込み防止の加工が施された駒を使っている場合、チューブをそのまま弦につけておく意味はありません。

チューブを付けたままにした場合の悪影響

悪影響は複数あります。

  • 弦高が変わってしまい移弦角度に影響する
  • 弦の振動に干渉してしまい音が減衰する

駒に弦の食い込み防止加工が施されている状態で、チューブが付いた状態で弦を張ると、弦の高さが部分的に高くなってしまいます。

もともと、駒のアール(曲面)は、そこに弦が乗った状態を想定して加工されています。

もし、チューブをそのまま駒の上にくるように弦を張ってしまうと、その弦は本来の想定より高く、浮き上がった状態になってしまいます。

この状態では正しい移弦角度が維持できません。

また、チューブが音色に干渉し、音を悪くする可能性もあります。

この音への影響には、“チューブのクッション性の良さによる振動の減少”と“駒との接点より先で弦が震えるのをチューブが阻害する”という2つの観点から考えることができます。

このような悪影響を考慮する限り、チューブは弦を袋から取り出した時点ですぐに外したほうがよいでしょう。

チューブの取り外し方

通常、弦に付いているチューブはそのまま抜けるようにできていますが、場合によっては、ナイフなどを使って削り取る必要があります。

この時、チューブを取り外す箇所が演奏で使用する部分に当たらないよう、駒とテールピースの間もしくはベグに巻き取ることになる部分で作業を行ってください。

ナイフを使ってチューブを削り取る場合、弦を傷つけてしまう可能性があり、演奏に使用する部分に傷がついてしまうと音色に影響が生じるためです。

最も良い方法は弦を自分で張らずに、楽器店の専門家に依頼することです。

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