バイオリンに限らずピアノやフルートなどの楽器の演奏は、何度も練習を積み重ねて発表会の本番に向け、パーフェクトな演奏をするために猛特訓をします。
しかしながら、本番はいつもと会場が違って張り詰めた空気が漂っていたり、観客も大勢いることからいつも以上に緊張してしまいます。
その緊張や焦りから発表会の本番中、曲の途中で止まってしまうこともあります。
ここでは、自分のミスやアクシデントによるハプニングが起きた時の対応方法と事前準備についてをご紹介します。
ミスやアクシデントが起きた時の対応方法
選択肢はいくつはありますが、間違える状況や、間違えた個所などにより、対応は全く異なってくることと思います。
- 間違えても堂々と弾く
- 一度舞台袖にはける
- 伴奏者に教えて貰う
- 伴奏者の間違えは気にせず弾き続ける
間違えても堂々と弾く
練習では上手に弾けていても、本番では緊張のあまり演奏の途中でミスをし、曲の途中で止まってしまうことがあるかもしれませんが、動揺せずに毅然とした態度で堂々と弾き続けます。
曲が止まってしまった時にあたふたとするよりも、ミスなんて気にしない!といった顔つきで堂々と弾くことが大切です。
その堂々とした態度は曲を通して聴衆に伝わり、ミスをかき消してくれる効果があります。
一度舞台袖にはける
弦は消耗品なので、使っていると劣化するものです。
そのため、弦が切れたり緩んだりしてしまう可能性もゼロではありません。
そんな時はピアノ伴奏者に伝え、客席に軽くお辞儀をしてから舞台袖にはけて弦を張り替えます。
発表会の時の舞台袖には先生が見守っていてくれていることが多いので、替えのバイオリンで弾くか、張り直している間は他の人が先に弾くかなど、先生の指示に従います。
伴奏者に教えて貰う
緊張で頭が真っ白になったり、あるいは集中しすぎて今は何回目のリピートなのか分からなくなることがあります。
そんな時はピアノ伴奏者に印象的なフレーズから再出発してもらったり、場合によっては譜面を見せてもらったりするべきでしょう。
事前に伴奏者の方と「万が一、そういうことがあった場合、その時は、わかりやすい所から自然にスタートしてください」等と、意思疎通をしておくことも重要です。
伴奏者の間違えは気にせず弾き続ける
ピアノ伴奏者の方は、多くのバイオリン奏者の伴奏を掛け持ちされていることも多いため、ピアノ伴奏者がミスをしてしまうこともあります。
そんな時は困った表情を顔に出さずに堂々と弾き続けていると、ピアノ伴奏者も合わせて弾き続けてくれます。
発表会で弾くことを想定した練習をする
大人でも子供でも、発表会本番は緊張してしまいますが、緊張していても、体が勝手に動くほど練習を積み重ねておくことは大前提ですが、本番当日は予期せぬハプニングが起きてしまうことがあります。
トラブル対応も事前の想定や練習あってこその結果がうまれるとお考え下さい。
そうすることで、本番に過度な緊張をせずに、演奏に集中できます。
- 楽譜を見て演奏するのは早い段階でやめる
- ハプニングの想定をしておく
- 人前で演奏することに慣れる
楽譜を見て演奏するのは早い段階でやめる
この点については、非常に重要なことで、譜面を見て進み続けると、知らず知らずの間に楽譜に頼っているものです。
本番で頼るのは自身のスキルです。
早い段階で暗譜し、曲を自分のものに仕上げていく努力を早い段階からスタートしてください。
ハプニングを想定しておく
万が一のハプニングに備えて、こんな時はこう対処すると頭に入れておくと安心して本番に挑めます。
これは非常に重要な考え方のポイントで、ハプニングの想定は「○○してしまった時は」ではなく、「○○した時は」という程度にドライな思考をクセ付けるようにしてください。
前者はプレッシャーに押しつぶされる人の考え方で、後者はミス対応も基本的なステージマナーや衣装と同じようにドライに考えれる人の思考です。
基本的な事ですが、「(✕)ステージに立ってしまったらお辞儀をする」なんて言わないように、何かを“やらかしてしまったら…”という思考は捨て去りましょう。
「(〇)ステージに立ったらお辞儀をする」と言うように「(〇)止まった時は堂々と弾き続ける」と考え、ドライに“こういう時はこうする”と考えることがポイントです。
単純な事ですが、この事前の考え方ひとつで、呼吸をするように対応が出来るものです。
〇 良い考え方
- 間違えた時は
- 途中で止まった時は
- 弦が切れた時は
✕ 悪い考え方
- 間違えてしまった時は
- 途中で止まってしまった時は
- 弦が切れてしまった時は
人前で演奏することに慣れる
日頃の練習の時から、「この演奏は人前で弾く」という緊張感とプレッシャーを想定して弾くようにしましょう。
百戦錬磨とはうまくいったものですが、何度も何度も繰り返し多くのシチュエーションで実践を積むことが大切です。
その方法の一つにストリートライブなどもおすすめで、当工房の看板娘も9歳からストリートライブを経験し、回を重ねるたびに緊張を噛み切るパワーが一気に付いていく様子を間近で見ることが出来ました。
私も海外で奏者として活動していた頃は、毎日のように社交場などで演奏しており、時々、ミスもおこるので、ミスをした時の対応方法を楽しみながら日々考えていました。