バイオリンを弾いていると、「ウォン、ウォン」という唸り声が聞こえてくることがあります。
これは近い音どうしが共振する時に発生する音で、バイオリンだけでなく、チェロやコントラバスなどでも発生します。
ちょうど動物の鳴き声のように聞こえることから、ウルフだったり、ウルフ音と呼ばれており、このウルフに頭を悩ませている人が結構います。
チェロやコントラバスの場合は、音域が低いので、「ボーッ」という低い唸り声が出ます。
一方、バイオリンやヴィオラなどは、音域が高いので、鼻に詰まったような音しか聞こえず、あまり気にならない演奏家も多いです。
ウルフ音を消してみる
演奏する度に登場するこのウルフの存在を消してしまいたいという演奏家は多いです。
唸り声を消すには、楽器店で調整してもらうことが一般的です。
ウルフ音の消し方
楽器店では、下記の3つの方法で調整されます。
振動吸収ゴムをつける
表板や裏板などに、振動吸収ゴムなどをつけて、振動特性を変える。
振動負荷をかける
楽器の肩当てなどに振動負荷をつけたり、エンドピンを調整したりすることで、振動特性を変える。
唸り声が出る弦の音量を抑える
ウルフが発生する弦に「ウルフ・キラー」と呼ばれる重りをつけて、音量を抑える。
ウルフ音の消したあとの悪影響
ウルフの発生は抑えることができても、下記のような悪影響が楽器に出てきます。
- 音量が小さくなったり、音にハリがなくなる。
- 音に明瞭さがなくなる。
ウルフ音と付き合う
楽器店に持ち込んで調整してもらうことで、ウルフ音を抑えることができますが、今まで馴染んでいた音を失うことになるので、ウルフ音を消すことに対して否定的な意見が多くあります。
唸り声が聞こえてきたら、それは良いバイオリンであるというサインだと思うほうが賢明です。
結局、この唸り声は、楽器の欠陥ではなくて、このバイオリンが持っている音の一種だということが理解できれば、唸り声だって、愛おしいと思えるはずです。
本来持っている声(音)を消すことに、集中するのではなく、唸り声も含めて、自分の愛する楽器の音だと思ったほうが良いでしょう。
唸り声があってこそバイオリン
自分の愛するバイオリンが、美しい音のみを出してくれると嬉しいかもしれません。
しかし、唸り声を出すことを理解した上で、付き合ってみるようにしたほうが、より深みのある演奏をすることが出来るでしょう。