バイオリンE弦のキンキン音をどうにかしたいときの原因と解決方法

バイオリンのE弦が、どうしてもキンキン音が鳴って何とかしたいという方、多いと思います。

金属弦の擦弦楽器の宿命といっても過言ではありません。

この音を解消するためには“バイオリン本体の各パーツ”と“弓”と“弦の調整”または“演奏方法の改善”が必要な4パターンの手法があります。

大きくの方から、E弦についてのご質問をいただきますので、まずは、何が原因でこんな異音が鳴っているのかを突き止めるところからスタートし、その解決方法をご紹介していきたいと思います。

キンキン音の基本的考え方

バイオリンのE弦を演奏した時にキンキンした音が鳴るその理由には、多くの原因が重なりあって、音という観点から

ただただ何の根拠説明もなく「新作のヴァイオリンはキンキンしてよくない」や「そういう楽器にあたってしまいましたね…」などと言われたのですが…と、当工房に相談が寄せられるケースが多くなっています。

何事にも理由が存在します

例えば上記のような「新しいからキンキン音がする」という点には間違った解釈が多く存在します。

確かに新しい木材は繊維レベルで柔らかさが残っており、そ木材の弾力で音を吸収しやすくなり、破調の弱い丸い音から吸収され減衰しやすくなるのは事実です。

ですが、新作のヴァイオリンに、例えば300年前の教会の柱の木材が使われていたらどうでしょう。

ニスの硬化や浸透に違いはあれど、乾燥やセルロース硬化で木材の硬度が高くなることにより、木材の弾力で音を吸収するということが起こりにくくなり、柔らかな音色も減衰することなくf孔から放出されます。

これが、包み込むような音色を生み出すヴァイオリンの科学的メカニズムです。

何事にも理由をはっきりさせないと、モヤモヤ感がのこったままでは、次に同じことが起こったときに、なかなか解決できません。

下記、ご参考にして頂けたら幸いです。

キンキン音の理由毎の解決方法

それでは、はっきりしない原因毎の解消方法を、下記の通りまとめてみましたので、ご参考にしていただけましたら幸いです。

演奏方法に問題がある場合】

演奏技術にキンキン音の原因がある多くの場合、フラジオレット効果によって発生していることが多いといえます。

発見方法

先生のヴァイオリンを借りても、調整された楽器店の楽器を借りて演奏してもキンキン音がンる場合は明らかに演奏方法に原因が存在します。

問題解決方法

  • ボウイングが弱いとフラジオレッと効果が発生しやすくなります。
  • 弦との擦弦接触部分がフラジオレッと発生ポイントに近づかないように駒に近づけてボウイングしてみる

弓に問題がある場合】

演奏法に問題がなければ、すぐにバイオリン本体のせいにしたがる方も少なくありません。

しかし、演奏術による原因と同じくらい、弓の調整が不十分なことによりフラジオレット効果などによるキンキン音が発生しやすいことを知ると、キンキン音の原因究明がしやすいかもしれません。

発見方法

先生やお店の弓をお借りて自分のバイオリンを演奏してみて、キンキン音が鳴ったら、下記の解決方法が有効な手段と言えるでしょう。

問題解決方法

  • 弓の毛の張り具合にムラがあるとフラジオレッと効果が発生しやすくなりますので、弓の毛が部分的に伸びていないか確認してください。
  • 弓のスクリューを巻きたりなければ、スクリューを少し多めに巻いてみることで、弓の毛の張りムラが解消されます。
  • 弓の毛のキューティクルが劣化もしくは粗悪な場合は、弦への引掛りが悪くなるため毛替えをするだけで大きく変わる場合がございます。
  • 弓の毛の松脂が足りない場合もありますので、松脂をしっかり塗りましょう

弦に問題がある場合】

フラジオレット効果が起こる原理として、摩擦を起こす側(弓の毛やボウイングの仕方)だけでなく、摩擦を起こされる側(弦)に問題がある場合があります。

発見方法

弓の調整や演奏方法を変えてもキンキン音が鳴る場合は、バイオリン本体の異常を疑うまえに、弦から起因するキンキン音を疑うと良いでしょう。

E弦以外のA弦D弦G弦のようなコアと言われる芯の外に金属をグルグル巻きにしていることで摩擦が起きやすくなっています。

しかしながら、E弦は高音を出すために、周囲のグルグル巻きがないものがほとんどで、それにより、E弦は摩擦力が低くなり、弦の上を弓の毛が滑りやすくなってしまい、フラジオレット効果が発生しやすくなります

問題解決方法

  • ゴールドやアルミコートのような表面が柔らかい減に交換
  • 弦をねじってから張る(理論上、摩擦効果を増やすことに繋がります)

バイオリンパーツに問題がある場合】

上記にチャレンジしてみて、なお、キンキン音が継続して耳に付く場合は、本体に原因があることが想定されます

発見方法

  • バイオリンを演奏しながら、バイオリンのいろんなパーツに触れて、キンキン音が消えた場合は、そのパーツに原因があります。
    触れる場所: 駒、テールピース、顎当て、顎当てクランプ、アジャスターパーツ、ペグ、ペグボックス内の弦

問題解決方法

  • 原因か所と想定される個所のパーツをクリーニングしてみる
  • 該当箇所の固定具を絞めなおしてみる
  • それでも治らなければパーツを交換してみる

交換方法や固定具の締め直しが不明瞭な方は工房へぜひご相談くださいませ。

【それでもだめな時は】

いろいろ試してみて、それでもダメな場合はバイオリン工房に持ち込んで相談してみましょう。

当工房でも、ご自宅からも気軽にご相談いただけるようにLINEなどのツールを使ってやり取りさせていただくことも可能です。

ぜひご活用くださいませ。

まとめ

キンキン音においても何事においても理由があります。

まずは原因をはっきり探して、その解決方法を適切に行っていくことで、あなたのバイオリンもきれいな音色を奏でてくれるものです。

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