バイオリン演奏の正しい姿勢・持ち方

  • 2020年2月17日
  • 2020年3月4日
  • コラム
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バイオリンは他の楽器よりも「いい姿勢」を求められます。

最初は特に立ち方やバイオリンの位置などを細かく言われます。

これは見た目の問題だけではありません。

正しい姿勢と呼ばれるものは演奏家それぞれに微妙に見解が違ってきたりします。

しかし、どれも根底は同じです。

その演奏家が「一番よい音色がでる姿勢」と思っている姿勢を伝えているのです。

個人差もあるため、そこに微妙にズレがでてしまうのは仕方ないといえば仕方ないです。

大事なことは姿勢より前に音色の善し悪しが前提として来ることなんです。

一番いい音色がでる姿勢が、正しい姿勢というわけです。

歌を歌うとき姿勢がぶれると発声がしにくいです。

それと同じようにバイオリンにも音が安定する姿勢があります。

姿勢ひとつで音色は大きく変わります。

現在、多くの本や指導の中で基本とされている姿勢は多くのバイオリニストが「いい音色がでやすい」と判断した姿勢であると考えられます。

自分が弾きやすい姿勢が決まりつつある人も確認すると演奏のヒントになるかもしれません。

もしくは、もっと体に負担がなく弾くことができるかもしれません。

力を抜くことが大事

バイオリンはリラックスした状態で弾くことが大事です。

YouTubeなどの動画サイトで情熱的に弾いているバイオリニストの映像をみると、むしろ力を込めて弾き上げるべきなのではないだろうかと思われる方もいます。

しかし、どの場合においても力を込めすぎるのは音に影響を及ぼします。

それは演奏の基本であるボーイングの練習で再三言われる弓と弦の関係があるからです。

体に力を込めすぎると弓を弦に押しつける状態になってしまいます。

弓と弦は浮かせすぎず鎮めすぎずが大事です。

どちらも過ぎると音がつぶれたりかすれたりします。

弦を弓に乗せているくらいで弾くと釣り合いの取れた美しい音色になります。

ですから、バイオリンはリラックスが大事なんです。

どこかが力むと、それは音色に即現れてしまいます。

酔っ払った状態をイメージするといいと指導されることもあります。

それくらい意識しないと体に力が入りやすいんです。

それも踏まえて、演奏に好ましいとされる姿勢を、足元から順に姿勢について書きます。

足下

足は前後に開いた方がいいだとか、肩幅に開いた方がいいだとか、色々指導されることもあると思います。

基本は開きすぎず閉じすぎないことです。

前後でもあまりにも開きすぎると体がねじれて負荷がかかってしまいます。

閉じすぎてもぐらつきやすくなり弾きにくいです。

普通に立つ感覚でいいと思います。

膝がピンッとつっぱってしまうと体が緊張し演奏がぎこちなくなりやすいです。

あくまで自然な立ち方で、膝がつっぱっていないか意識して確認しましょう。

演奏中は無意識に体が力みがちになってしまいます。

腹部・腰

腹部や腰全体があまりに前に出てしまうと不格好ですし、お腹でバイオリンを支えるような感覚になり体全体を使った演奏がしにくいです。

よって無駄な箇所に力が入ってしまいます。

胸・背中

胸はなるべく張った状態で、背中が丸まらないようにします。

張りすぎて後ろに重心が行き過ぎるのもよくないので注意が必要です。

バイオリニストの映像を見ると、思った以上に反っていたり背中が丸まっていたりするかもしれません。

反ったときは比較的軽やかな音が鳴り、丸まったときはしっかりとした太い音が鳴りやすいです。

しかし度がすぎると音色が掠れたり潰れたりします。

感情表現としては有用ですが、まずは真っ直ぐ胸を張り背中を丸めすぎない基本の姿勢を定着させることが大事かと思います。

左腕の曲げる角度については、身長や体格によっても適切な角度が違います。

バイオリンはなるべく水平に保つことを基本として持ち上げます。

左手でバイオリンを持つので肩に乗せ顎で挟むのはあくまで補助だと思った方がいいです。

演奏中、力んでくると、どうしても右肘が上がりがちです。

右肘が上がると弓に負荷がかかるので音が潰れやすくなってしまいます。

線ごとにも肘の適正高さはありますが、手首より肘が上がっている状態は確実に力が入りすぎているので緩める必要があります。

意識しないとどうしても上がってしまいがちなことの方が圧倒的に多いです。

肘が上がりすぎていないかその時々で確認が必要です。

手・指

右手は指を曲げすぎず、筋肉が緩んだ状態で弓を持ちます。

右手のそれぞれの指のポジションについて望ましい状態を書きます。

親指は弓の下の黒い部分の隣に差し込むようにいれます。

ここで力が入ると親指が反ってしまいがちです。

第一関節を曲げることを意識して支えましょう。

ひとつ飛ばして中指です。

親指と輪っかを作るように中指の第一関節を曲げます。

親指と中指はセットで弓を中心的に支えますが、そのぶん、弓の可動域にも密接に関わってきます。

力を入れすぎずリラックスした状態で弓を自在に動かせるよう意識しましょう。

人差し指は曲げすぎず反りすぎず柔らかなカーブで銀線に置きましょう。

曲げすぎると潰れた音がなりますし、反りすぎると他の指も緊張し固い音色になってしまいます。

薬指は人差し指の傍で第一関節を添えます。この指では弓の振れ方を抑制できます。

しっかり支えれていないとボーイングで上に跳ね上がってしまったりするので、この指もとても重要な指です。

小指は指先が弓にあたるようにします。

添えるようにすると指がつっぱねていきやすく弓の重さを支えきれません。

丸めて弓の重さを下側へ押さえるように置きます。小指は結構力の必要な指です。

指を持つ指の深さに関しては、その人それぞれで適性があります。

深めに持てば音がつぶれやすく、浅く持てば音がかすれやすくなる傾向はありますが、その人の普段の力加減によっては多少深く持つ必要性があったり浅く持つことでバランスが取れることもあります。

左手はネックをしっかり持つべき、と指導されることもあります。

実際、バイオリンを左手でしっかり支える必要性はありますが、左手に力を入れすぎなくてもバイオリンは支えられます。

弦を抑えるのに力がこもると音も潰れて響きが少なくなってしまいます。

筋肉が緊張していない状態を意識して、ふわっと弦を抑えると和音の響きなどもよくなります。

こちらも両方の肩が基本なるべく水平を基本として、右の肩で重心を移動しながら弓を弾いていきます。

肩がいかった状態だと体に負担がかかります。

両肩を落とした状態で上半身全体を使って弾くのがベストです。

肩から手まででバイオリンを弾くと、肩こりの原因になるだけではなく、肝心の音色もつぶれやすいです。

顎はバイオリンに添えるものであって挟むものではありません。

見た目では挟んでいるんですが、意識的に肩に押さえつけるように顎で挟むことは多くの演奏家達もよくないと明言しています。

もちろん顎で押さえるとバイオリンがぶれにくく早いパッセージなど弾きこなしやすいですが、顎で楽器の振動を止めてしまい響きが薄くなったり、顎に負担がかり顎関節症を起したりとデメリットの方が大きいです。

バイオリンは顎で挟むのではなく、なるべく左手で把持し支えましょう。

正しい姿勢が安定した音色を作り出す。

正しい姿勢は音色のためにあります。

もし正しい姿勢と言われるものを完璧にマスターしても音に疑問を持つ場合は、自分の身体的特徴や力の込め方のせいで正しい姿勢とのズレがでている可能性があります。

もしくは姿勢とは全く別で楽器自体の状態にも由来するかもしれません。

バイオリンは様々な要素が複合的に音色となって現れるとても繊細な楽器です。

まともに音を出すだけでも難しいですし、音程をとろうとすればそれなりに努力が必要です。

ですが、その分、頭の中で描いていた正しい音色に出逢えた時の喜びはひとしおです。

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