スポーツの世界でも音楽の世界でも左利き、つまりレフティーは存在しています。
一見左利きのほうが有利な感じがしますが、バイオリニストの世界では左利きはどのように見られているのでしょうか。
左利きのバイオリン奏者たちは有利か
考え方ひとつのような気もしますが、私の見解としては、環境要因などの障壁はあると感じていますが、奏者として不向きという考えは全く感じておりません。
不利ではないと考える意見
バイオリンは右手と左手を同じように動かすので、右利きであろうと、左利きであろうと、全く関係ないという意見があります。
後述しますが、パガニーニや千住真理子さんなど、多くの奏者が左利きで大成しております。
むしろ、右利き左利きの方が才能が開花すると高い結果を出すことが統計学上でも見られる傾向にあり、MENSA会員の2割が左利きで、統計上で左利き男性は右利き男性の115%の収入があると言われている。
不利であるという意見
不利であるという考え方も存在するのは下記のような現実があるからであろう。
実際には左利き用のバイオリンはほとんど製作されておらず、左利きの用のバイオリンは、魂柱まで変える必要があり、特注しなければならないので、大変な手間とコストがかかってしまいます。
また、バイオリンはソロで演奏するというよりも、オーケストラなど大勢の人と演奏をすることが多いので、左利きのバイオリニストがオーケストラで存在してしまうと、隣の奏者との距離感の統制などの面でも調整が必要だったりと、多くの壁があるのも事実です。
バイオリン工房を営む立場から望ましくない表現だと感じていますが、あるバイオリニストは、「バイオリンは右利き用に作られており、観客に一番聞いてもらいたい音は右で出すことが多いので、左利きのバイオリニストは不利である」ともコメントしています。
左利きのバイオリン奏者たち
左利きのバイオリニストは不利とご紹介しましたが、もちろん、左利きのバイオリニストも活躍しています。
それでは有名な左利きのバイオリニストをご紹介します。
千住真理子
天才少女として早くからバイオリニストとしての才能を認められていた千住真理子さん。
左利きのバイオリニストは大成しないと言われたため、ショックを受けて、しばらくの間は自分が左利きであることを隠していたというエピソードがあるほどです。
パガニーニ
18世紀、悪魔のバイオリニストと呼ばれ、超絶技巧で多くの人々を魅了したパガニーニも左利きだったと言われていますが、事実だったかどうかは、はっきりしていません。
パガニーニについては、2013年のドイツ映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」で、彼の生涯を垣間見ることができるので、おすすめです。
古澤巌
東京都交響楽団のソロ・コンサートマスターを務めたことがある古澤巌さんも、左利きでした。
バイオリンを母に言われて習い始めた頃、先生に「左利きはやめたほうがいい」とか、「左利きは、人の3倍練習しなければならない」と言われて、泣きながら、必死で練習をしたそうです。
子供の頃はとても辛かったでしょうが、その経験があったからこそバイオリニストとして成功を収めたわけですから、辛い経験がバネになったと言えるかもしれません。
何事も楽しもう
左利きでバイオリンを弾くのは不利に思えますが、左利きでしか出来ない演奏があるはずです。
まずは左利きなど考えずに、演奏を楽しんでみてください。
右利きには感じえなかったことや表現できなかったことなど、多くの違いを演奏に映し出すことができるはずです。