最重要パーツともいえる魂柱
魂柱(こんちゅう)はバイオリン本体の内部にある小さなパーツで、表面のf字孔から覗くと確認することができます。
本体の表板と裏板の間につっかえ棒のように存在しており、バイオリンの音のエネルギーを伝えるという大変重要な役割を持っています。
バイオリンに張った弦を弓で弾くと、音は駒に振動となって伝わります。
すると、音のエネルギーは表板に伝わり、その後は魂柱を通って裏板へと伝わっていきます。
人間でいえば神経系統のような役割を持っており、まさに魂柱という名前にふさわしいといえるのではないでしょうか。
しっかりと作られた魂柱が適切な位置に配されているか否かで、バイオリンの放つ音色は大きく異なってきます。
魂柱が支えているもの
バイオリン本体内部は、空洞になっていて唯一この魂柱でのみ支えられています。
しかし、魂柱は接着剤などで固定されてはいません。
そのため、強い衝撃が加わるなどすれば倒れてしまうこともあります。
魂柱が倒れると本体がつぶれてしまうこともあり得るので取り扱いには十分な注意が必要です。
もしもバイエリンを落とすなど強い衝撃を与えてしまった時には、表板のf字孔から覗いて魂柱が傾いていないかチェックするようにしましょう。
もしも傾いている場合には専門家に修理を依頼する必要があります。
ほんのわずか魂柱の位置が変わっただけで音色に影響してしまうほど、バイオリンの構造は神秘的なのです。
魂柱は、バイオリン本体が組み立てられた後に、表板のf字孔から入れて接着剤などを使うことなく立てられます。
魂柱の面は本体の表裏両面の微妙なふくらみに合わせて削られており、最適な長さに調整されたものが使われます。
また、バイオリンは弦を張る必要がありますが、その張力は全部合わせると20キロにもなります。
この大きな圧力を駒とともに支えているのが魂柱なのです。
駒と魂柱がずれて設置されている理由
上記の内容を読んで、では何故に魂柱を駒の真下に設置しないのかと考えた方もおられるかもしれません。
確かに、駒の振動をダイレクトに伝えるためにも、駒から伝わる圧力で魂柱を倒れにくく抑えるにも、魂柱を駒の真下に設置したほうが良いのではと考えるのは当然かもしれません。
しかし、この離れた二人こそ、バイオリン自体が心震えるように振動し鳴り響く要因を作っています。
理由は、シーソーのような役回りをしている点で、魂柱にとって、駒は片側に乗られている人物で、もう片側は本体となり、バイオリン全体がウネウネと動くように振動をバイオリン全体で大きく伝えることができるのです。
魂柱とバイオリンの神秘
上記のような効果が最大限に引き出されるポイントは、大まかには決まっていますが、木の状態や削り具合など、同じブランドの同じ型番であっても個体ごとに、ほんの少しずつ違います。
人と同じように心臓の位置や脳の位置は、大まかには決まっていますが、人により位置の誤差や考え方の違いがあり、バイオリンも一律ではありません。
それがゆえに、弦楽器の魂を司る柱として、その名がついています。
すべては音のエネルギーを無駄なく伝えるために
音は秒速300メートルという速度を持っています。
しかし、実際にはさまざまなところにぶつかって減衰してしまいます。
コンサートを聴きに行った時、前の方の席で聴くのと後ろの方の席で聴くのとを比べると音にはかなりの時差が生じているのがわかることでしょう。
このような音が伝わるスピードを踏まえ、バイオリンは弦から生まれた音を効率よく伝えるよう精巧に仕組まれているのです。