バイオリンの弦を指で押さえる部分の板を指板と言います。
指板は、だいたい濃い色をしていますが、常に弦を指で押さえつけるため、摩擦や圧力で擦れたり、窪みが出来たりしてしまいます。
もともと黒い木である黒檀を使用している場合は擦れても色が落ちることはありませんが、白っぽい木を黒く染めて使っている場合は、摩擦で塗料が落ちて元の木の色が現れることがあります。
色が落ちても演奏や音に変わりはありませんが、形がいびつになってくると弦を押さえにくいなどの影響があらわれるため、定期的な確認やメンテナンスが必要になります。
日々の指板のお手入れ
指板は、常に指でふれるため、皮脂などで意外と汚れやすいところです。
汚れをそのままにしておくと、木材劣化の促進や、着色材の剥離進行を早めてしまいますので、定期的に拭いてきれいにするのが良いでしょう。
クリーナーなどで拭く人もいますが、それを頻繁にすると、着色型の指板の場合ですと、色落ちの原因になってしまいますので、クリーナーの使用はよほど汚れが気になった時くらいにしましょう。
できれば、時々、弦を外して拭き、そのあとまた弦を張りなおしましょう。
クリーナーなどの溶剤は、ニスに影響する可能性があるので、バイオリン本体につかないように注意します。
色落ちや窪みの修理
色落ちや窪みが気になる場合は、専門家に修理に出すことをおすすめします。
色落ちの場合の修理
色落ちの場合はそれで音が変わるわけではないので、気にならないばあいはそのままでも構いませんが、気になる場合は、バイオリン工房など専門店に依頼し、専用の染色液で再染色することをおススメいたします。
窪みが出来た場合の修理
もともと指板の表面は、ピンポイントで抑えやすいようにカーブを描いており、どこで抑えてもしっかり押さえられてなおかつ弦の他の部分が板に触れないようになっています。
その表面のカーブがきれいに出ていなかったり、カーブの表面に傷や窪みができてしまうと、演奏に支障をきたしますので、バイオリン工房で加工修理をお願いしましょう。
- 鉋による削り込み
- スクレーパーでの削り込み
- 拘りにより貼り合わせや埋め込みの技法を使用する場合もある
- 状態が酷い場合は指板交換
こうしたバイオリンの指板部分を削って表面を滑らかに整え、必要があれば色を塗るなどしてまるで新品のような状態にしてくれます。
※写真:タイトル写真はセカンドポジション辺りを埋め込みにて修正したが、その他の部分も順次削れ始めている様子のフレット。
専門家に依頼したときの費用
指板の削りや交換を専門家にお願いすると、もちろん費用がかかります。
一般的なバイオリンの指板を削る場合で1万円前後、交換で3万円前後が相場ですが、もちろんバイオリンの状態や、バイオリンのもともとの価格、交換の場合は黒檀のクオリティによっても変わります。
ただし、費用も大切ですが、指板の状態は弾き心地にも関わる大切なポイントですので、依頼するときは必ず信頼できる修理工房に依頼するようにしましょう。