今あるバイオリンの音色を良くする方法

「今使っているバイオリン、とても気に入っているけれど、もう少し音がよくなればいいのに」と思っている人は少なくないかもしれません。

バイオリンの音色を変えるには、本体を買い替えるのが単純に音色に影響があると言われていますが、そう簡単に買い換えられる楽器ではありません。

安いものであれば1万円台からありますが、「音色を良くしよう!」となると、その価格での選択は難しいでしょう。

本当に良いものを考え始めると、価格にはキリがありませんが、あまり高いお品は躊躇してしまうでしょう。

ここでは、できるだけお金をかけずに、バイオリンの音色をよくする方法をお話しします。

自分で交換や調整しやすいパーツ

バイオリンには数多くのパーツや付属品がありますが、そのすべてをバイオリン工房にメンテナンスに出して調整しないといけないという訳ではなく、自身で交換や調整ができるものもございます。

  • 弦を交換する(特にコアが違うものを選べば大きく音色が変わります)
  • 肩当てを変えてみる
  • 松脂(ダーク系やライト系)

弦の交換する

弦にはさまざまな種類があり、バイオリンの少し音色を変えるというより、弦の素材の種類を変えると、非常にわかりやすく音色に変化が見られます。

スチールコア弦

高寿命、高耐久で、金属の芯を用いた弦で、チューニングもしやすく安定している為、ビギナーの方にもおススメです。

ナイロンコア弦

最もメジャーな弦と言われており、ガット弦のまろやかさと、チューニングしやすい安定性と、パワーサウンドを兼ね備えた弦となります。

ガット弦

羊の腸のなかでも、より強度のある繊維を取り出し乾燥させてから、より合わせた弦となります。

非常に丸みのある音色が特徴で、バイオリンらしい非常に暖かな印象を受ける音色が魅力的な反面、伸縮が激しく、チューニングが難しいことと、寿命が短いのが難点となりますが、音色を重視される場合の選択肢の一つとして、中上級者の方にお勧めです。

肩当てを変えてみる

肩当ての場合、価格がよければいいというのではなく、楽器や自分との相性が関係しますから、実際に当ててみて選ぶのがポイントです。

松脂を変えてみる

下記の記事で詳細に解説しておりますが、弓の食い付きが悪いなどの感覚を覚えた方は、粘りの強めのダーク系の松脂に変えてみると良いかもしれません。

工房で交換や調整をお勧めするパーツ

少し頑張れば自身で調整が可能なパーツもありますが、魂柱などの調整は勿論自身では困難を極めるため、基本的には下記の調整はバイオリン工房へおねがいされることをオススメいたします。

  • 弓の毛替え
  • 駒の交換や調整
  • 魂柱の調整
  • フィッティングパーツの交換や調整

弓の毛替え

弓の毛を良質なもにに替えることも、音をよくするために行うことがありますが、バイオリン工房などへ依頼が必要となります。

1音に聞こえるボウイングは複数のキューティクルの引っ掛かる音の連続でできているのですが、良質な馬の毛はキューティクルが均一で、音にムラが出にくく、ストロークの中にノイズが入りにくいため、本来の美しいバイオリンの音色を引き出す事ができます。

駒の交換または調整

バイオリンの駒は交換や、ほんの少しの調整(高さ調整/前後左右移動)をすることで、音質が良くなりますが、これも自分では難しいので、バイオリンのメンテナンスを工房に相談しましょう。

バイオリンの中の魂柱と外の駒との位置関係が非常に重要なポイントとなります。

魂柱の調整

魂柱の位置は、1mm未満の移動で大きく音色が変わります。

音の鳴らない悪い楽器だと言われたものでも、響きが大きく変わるほど重要なパーツであることから、その名がついています。

フィッティングパーツの交換や調整

見た目だけと考えがちな、テールピースや顎当ては、異音の原因となったり、音の振動を妨げてしまう場合もあります。

ビリビリ音が聞こえた際はフィッティングパーツを確認し、調整してもらうことで治る場合も多いです。

セルフメンテナンス

これは、パーツを変えたりするものではなく、保管方法や取り扱い一つで音色を変えてしまうという内容です。

掃除をする

バイオリンの音をよくするために掃除?と思われるかもしれませんが、これはとても大切なことで、毎回演奏のたびに掃除をしています!という人も、駒周辺の汚れや、本体内部の埃などには、意外に気付かないものです。

松脂のこびり付きを除去する

バイオリンは様々なパーツの音響要素の集合体で良い音色を作り出しており、表層のニスもその一つで、演奏後に松脂を拭き取ることをせずに放置すると、ニスの表層で松脂が硬化し、ニスの本来の機能を果たさなくなる場合もあります。

バイオリン内部の埃を除去する

内部の掃除をすることで、音の広がりがよくなりますから、埃玉がないかどうかチェックをして、定期的にし、掃除をするのがおすすめです。

内部の埃玉の影響や掃除については下記の記事がおすすめです

保管方法を変えてみる

ヴァイオリンは湿度や温度でも音色が大きく変わってきますので、適切な環境で保管されることで、常に安定した音色を奏で続けてくれるようになります。

乾燥や湿気の対策についての記事は下記がおすすめです

専門家選び

バイオリンのメンテナンスは、自分でできることとそうでないものに分かれますが、基本的には、メンテナンスは専門家にお任せするというのがおすすめです。

もちろん費用は掛かりますが、バイオリンの買い替えを考えれば、そこまで高価にはならないでしょうし、メンテナンス内容の説明を聞くだけでも、自身の知識が増え、保管方法や今後の取り扱いに良い影響を与えてくれることとなります。

自分でできそうだからと、勝手に部品交換などをして、かえって音が悪くなってしまったというケースも多くうかがいます。

そのバイオリンを購入した楽器店や、メンテナンスをしてくれる職人さんをしっかり選んで、長くよい状態を保つことができるようにすることが、バイオリンの音をよくするということにもつながります。

職人の技術は勿論ですが、自身のパートナーである楽器の音色を預ける職人ですから、当然、考え方などの方向性や相性も良いに越したことはありません。

皆様のヴァイオリンが素敵な音色を奏で、素晴らしいヴァイオリンライフが末永く続くよう願っております。

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