バイオリンとヴァイオリン以外にも、日本語には同じものを指しているのに表記や読み方が異なるものが数多く存在しています。
では、バイオリンとヴァイオリンはどちらが正しいのでしょうか。
実はどちらも間違いではなく、どちらも正しい表記です。
では、なぜ二つの表記があるのでしょうか。
このページでは、その違いがうまれた理由から、実用するべき方はどちらかなどを紹介していきたいと思います。
英字表記した時の発音の違い
バイオリンは英字では「Violin」という綴りになります。
そのため、頭文字の「V」を「バ」で読むか、「ヴァ」と、下唇を噛みながら読むかだけの違いであり、口頭では「バ」と呼んでも書く時だけは「ヴァ」にするこだわり派の方もいます。
どちらが正しいという明確な決まりはないため、2つの表記が混在しています。
英字がViolinであるため、発音重視であれば「ヴァイオリン」ですが、日本人が発音しやすく書きやすい、入力しやすいのは「バイオリン」です。
日本国語大辞典などによると、明治時代では「ヴァイオリン」表記されていたようですが、国語審議会で「ヴァ」の表記が使えなくなり、戦後期に「バイオリン」が生まれたとされています。
広辞苑ではどちらが表記されているか
使いたい言葉に迷った時や、正しい日本語を使いたい時に活躍する広辞苑ですが、広辞苑にはバイオリンとヴァイオリン、どちらが表記されているのでしょうか。
答えは両方です。但し、「ヴァイオリン」の個所にはその言葉の意味は書かれておらず、『ヴァイオリン【violin】⇒バイオリン』とだけ記載されています。
これは、ヴァイオリンの意味を知りたかったら、「バイオリン」で調べてね、ということでしょうか。
実際に「バイオリン」の個所にはどういった楽器で、いつ頃どの辺りで考案されたかなど、細かな説明書きが記載されています。どちらも意味は同じですよ、という表記の仕方で広辞苑には両方の記載があります。
そのため、広辞苑に載っている方が正しい、という判断はできないことになります。
WEB検索の割合
バイオリンとヴァイオリンでWEB検索をした場合、どちらの方がより多くヒットするのでしょうか。
検索結果は下記の通りです。(検索結果は全て2019年11月現在のものです。)
- Google…バイオリン:約23,600,000件 ヴァイオリン:約16,100,000件
- Bing…バイオリン:約32,800,000件 ヴァイオリン:約32,800,000件
- Ask…バイオリン:約2,340,000件 ヴァイオリン:約1,370,000件
Yahoo!はGoogleと同じ検索エンジンであるため、Yahoo!の検索結果は記載していませんが、「バイオリン」の方がどの検索エンジンでも多くヒットするのが分かります。
結論、バイオリンとヴァイオリン、どっちも正しい
バイオリンとヴァイオリンはどちらも間違いでなく、どちらでも正しいです。
口頭で「ヴァ」の発音は日本人には難しいので、口頭では「バイオリン」の方が使い勝手が良さそうです。
また、バイオリンに関する何か調べものがある時も、「バイオリン」で調べた方がより多くの情報が得られそうです。