バイオリンにおける裏板の役割

  • 2020年4月10日
  • 2020年4月11日
  • コラム
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バイオリンの裏板は、文字通りバイオリンの裏側の板、弦がある表板の下側(対面)に張られている板を指し、きれいな虎杢のものや、中には鳥目杢のものなど、バイオリンの外見を美しく見せてくれるものです。

しかし、本当の役割を皆さんはご存知でしょうか。

美しさをただ単純に見せるものではないのです。

こちらでは、そんな裏板の役割をご紹介していきたいと思います。

裏板はアコースティックバイオリン特有のもの

つるりと滑らかに形どられ、木目の美しい裏板は、基本的にはアコースティックバイオリン特有のものです。

エレキバイオリンでは消音性を高める為に裏板、表板のどちらも存在していない物が多く存在しています。

裏板の役割は響かせること

裏板の役割とは、簡単には音を響かせる為のものです。

サイレントバイオリンからアコースティックバイオリンに移行した時、まず戸惑うのがこの表板・裏板が存在している事でサイレントバイオリンとは異なる音の響かせ方が必要になる点だと言われています。

「裏板を鳴らす」とは

こうした演奏の仕方は「裏板を鳴らす」「裏板を響かせる」と表現されます。

弓で弦を強く押さえつけず、切れ良く、かつしっかりとぶれずに運弓する事が求められます。

音の響きは耳で感じるだけでなく、上手く響いた時には弦に触れる指、弓を握る手にもその響きが感じられます。

裏板を鳴らす弾き方が出来れば、とても心地良い音色が奏でられます。

エレキバイオリンでは裏板がうまく鳴らせない?

バイオリン本体の中で響かせる事を目的としていないエレキバイオリンをずっと使っていると、アコースティックバイオリンが弾きにくくなる、という言説は確かに存在しています。

しかし、弦を押さえる運指の位置には違いが無く、音を鳴らしづらい環境下での練習には消音に優れたエレキバイオリンも十分重用できます。

ただし本番にアコースティックバイオリンを使う場合は、十分に猶予を持って練習し、慣れておきましょう。

裏板は一枚板?二枚板?

裏板の作りは2種類存在しています。

1つは1枚の板から全面分作り出す「一枚板」と、もう1つは2枚の板を貼り合わせる「二枚板」です。

音の響きに殆ど違いは無い

音響特性において、この一枚板も二枚板も大きな違いは無いとされています。

一枚板は継ぎ目がなく滑らかな木目が美しく、元々裏板は丈夫な素材を用いますが、継がない事でより丈夫であると考えられています。

二枚板は継ぎ目こそありますが、その中央で分かれた木目の美しいアシンメトリーを好む人もいます。

裏板は響かせるのに重要な存在

  • 裏板を鳴らす事で美しい響きが出来る
  • 裏板を鳴らすには充分な練習が必要
  • 一枚板、二枚板の違いは好みの差

裏板は一朝一夕に鳴らせるものではありませんが、鳴らすことが出来れば深みのある伸びやかな音色が作り出せます。

アコースティックバイオリンの強みでもある音色を得るには、やはり裏板は欠かせない存在です。

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