チューニングをするときに弦が切れないかいつも心配になる、というぐらい、弦が良く切れる方は、思いのほか多いと思います。
バイオリンの弦が切れる原因は、弦と楽器が接触している部分に何か原因がある場合と、弦の劣化や弦の素材自体が起因する3つのパターンに分けられます。
1つ目は劣化によるものなので、単純に張り替えるだけですが、劣化以外の場合はなぜ切れてしまうのか、明確な原因を把握することは、今後の弦切れを防ぐために重要です。
バイオリンの弦が切れる理由
下記の通り、原因とカッコ内の対応をしっかりすれば、弦が切れてしまう心配も軽減されます。
- 弦の寿命が原因(弦は3~4か月に1度交換がおすすめです)
- 弦の材質が原因(初めから張ってある弦は早めに交換しよう)
- 劣化や弦以外の原因(弦とバイオリンの接点をメンテナンスしよう)
弦の寿命が原因
弦は消耗品であるため、使用しているうちに突然切れてしまうこともあります。
切れた弦で演奏することはできないので、常に予備の弦を持つようにしておくことが大切です。
使用頻度によって寿命の期間は異なりますが、プロのバイオリニストは1カ月程度で張り替えるケースがほとんどで、趣味程度であれば半年程度での交換が望ましいとされています。
しっかり練習される方は、バイオリンの弦は3~4カ月に1度ほどの交換がおすすめです。
切れたり破損したりしない限り、使用し続けることはできますが、弦が古いと音程が取りにくく、音に艶が出なくなります。
弦は張り替えてから1週間程度で張力のバランスが取れ、バイオリン本来の音色を奏でられるようになります。
そのため、そろそろ交換の時期かな、劣化してきたかなと感じたら、大きな舞台がある1週間前には張り替えておくことをおすすめします。
弦の材質が原因
バイオリンにもとから張ってある弦は、特に低価格帯のものであるとノーブランドのスチール弦であることが多く、コストを下げるために品質が劣っているものも少なくありません。
バイオリンの弦はもともと切れやすいので、切れる回数が多くて困っている方は、購入する弦の価格帯を変えてみてみることも一つの対応です。
いずれにしても、初動から張られている弦は早めに張替えをおすすめいたします。
また、ピアノと違ってバイオリンはご自身で調弦することが多い楽器ですが、チューニングの取り扱いに慣れていないとペグを回しすぎてしまうこともあるため、慣れるまでは楽器店に依頼するのも一つです。
劣化や弦以外の原因
上記を対応して、それでも切れやすい方は、バイオリン本体の弦の接点をチェックしてみてください。
弦のE線で、アジャスターに引っ掛ける留め金が尖っていたりすると、弦はすぐに切れてしまいます。
新しいアジャスターによく起こる現象ですが、交換したばかりのアジャスターは、弦と接触する個所の角をヤスリで面取りしておくことが大事です。
また、長年使用していると駒やナットの溝がすり減って深くなり、その溝によって弦を痛めてしまうこともあります。
こういった場合は弦の張り替えだけではないので、楽器店での修理が必要になるケースもあります。
他にも、糸巻の取り付け位置が悪く、別の弦に接触して切れてしまうこともよくあるトラブルの一つです。
接触の度合いにもよりますが、糸巻全てを交換するような大掛かりな修理が必要となるケースもあります。
弦が切れやすい原因は弦と本体に原因がある
弦が切れやすい原因は、単純に弦の劣化だったり、弦そのものが良質な物ではないといった、弦に原因がある場合と、楽器本体の構造のどこかに原因がある場合があります。
弦の場合は張り替えるだけで解決できますが、そうでない場合は楽器店に相談することで大切な楽器を長く愛用いただけます。
それでも弦が切れてしまったときの対応
上記の原因を知り、その対応をしたうえでも弦は練習をたくさんすればするほど、切れてしまうものです。
切れてしまうこと自体は悪いことではありませんので、切れてしまったときに直ぐに交換できるように、弦のストックをケースの中に各弦1本ずつは入れておくことをおすすめいたします。
また、ガット弦の新品のストックはあまりお勧めいたしません。
ガット弦のストックをされる際は、ある程度、伸ばし慣らした弦をストックとして使用されるのが良いでしょう。