皆さんも見た頃があると思いますが、楽譜をめくるだけで出てくる人について疑問に思ったことある方も多いと思います。
バイオリン工房の子供のお客様からの質問です。
Q:ページをめくるだけの人って、お仕事はそれだけ?
A:とっても大切なページターナーという役割を担っている人物になります。
確かにこの疑問は大変失礼かもしれませんが、多くの方が疑問に思ったことかもしれません。
実際に私も幼い頃に、テレビで見たときは同じような疑問を持ち、両親に聞いたことがありました。
こちらでは、多くの方が疑問に思う、譜めくりをする人/楽譜をめくる人(ページターナー)について解説してまいります。
ページターナー(楽譜をめくる人)の役割
譜めくりくらい誰でもできるわと思った方もおられるかもしれません。
言葉にすれば、ページを1ページめくるだけという行為です。
譜面をめくるページターナーの役割は、ただただ譜面送りをするだけが仕事と言ってしまえばそれまでですが、絶対に必要な場面が出てくる大切な役割を担っています。
必要になる場面
ただただ、演奏に集中したいからだけではなく、物理的に両手がふさがっていたり、プロの世界では初めて会う人と初めて見る楽譜で演奏するケースも少なくありませんので、そうしたときに、ページターナーは大変重要なポジションとして登場します。
- 全パート付き譜面の時
- 両手が常にふさがる楽曲
- 初見で本番演奏する際
- 演奏に集中したい etc
暗譜している場合を除いては、そんなに頻繁に譜めくりしたり、焦って譜めくりをしてしまっては、ミスにつながりかねませんので、譜めくりは必須のポジションなのです。
ピアノパート付きの室内楽などでは、暗譜することなくピアノが参加するケースも多く、多くの場合、ピアニストは「譜めくり(ページターナー)」と一緒にステージに登場します。
ページターナーに求められる能力
さて、上記のとおり、譜送りの大切さは理解できたと思いますが、彼らにはどんなスキルが求められる能力を解説していきたいと思います。
大切なことは奏者の邪魔にならぬよう奏者が欲しいときにページをめくって差し差し上げる必要です。
そのためには、下記のような能力が必須です。
- タイミングの見極め
- 奏者の癖の見極め
- 事前のコミュニケーション
- 目立ってはいけない etc
タイミングの見極め
他の楽器奏者と同様に、ピアノ奏者も現在演奏している部分より先の楽譜を見ながら演奏しているものです。
ただし、人それぞれ、譜読み速度や追い方が違うため、その見極めは非常に大切なポイントとなります。
奏者の癖の見極め
癖というと、当然譜面を見るタイミングや速度もありますが、実は演奏の際の体の動きも奏者によって全く異なり、場合によっては奏者と譜めくりがぶつかり合ってしまって演奏に支障が出てしまうなんてこともあります。
この癖を瞬時に読み取る力と感覚も重要なポイントとなります。
事前のコミュニケーション
上記のタイミングや癖については、実際に何度か一緒に練習することができれば、見抜くことができますが、初見そして初対面で練習ができない場合、繰り返しを必要とするかしないかや、どのタイミングでめくるかなど、奏者とのコミュニケーションは非常に大切なスキルとなります。
目立ってはいけない
当然ですが、主役は奏者となりますので、譜めくりがピアノ奏者とぶつからないようにオーバーな動きになってしまっては、聴衆も聞くことに集中できず、ステージの印象を悪くしてしまいます。
また、音や服装や入退場時の所作は当然のことながらTPOを大切にしなければいけません。
奏者より目立つ服は控え、入退場時も奏者がお客様の視線を浴びている際に、そっと静かに入退場という黒子のような役回りに徹しなければなりません。
まとめ
これだけ、大切な仕事でありながら、ページターナーは目立たずにいます。
これこそが、プロの極みといったところでしょうか。
素晴らしい演奏家の側には、相性の良い素晴らしいページターナーがついているものです。
皆さんも素晴らしい演奏会などでページターナーがいるのを見かけられたら、ぜひともその素晴らしさに目をやっていただけたらと思います。