バイオリンの裏板や指板が剥がれた時の接着などの対処法まとめ

バイオリンは一般的には表面にはスプルース材、裏や側面、ネックにはメイプル材、指板にはエボニー材が使われ、接着には天然接着剤である「にかわ」を用います。

木工ボンド等強い接着剤を使用しないのは、各素材の微妙な伸縮率の違いに「にかわ」も伸縮して大きなストレスを与えないためです。

同時ににかわであれば各部材の再剥離・接着が容易であり、修理等がしやすくなります。

膠が剥がれる場所

バイオリンの部材の剥がれは目には見えにくいですが、起こると音が割れたり、ノイズが混ざったりします。

  • 胴体側面の剥がれ
  • ネックと胴体接合面の剥がれ
  • 指板の剥がれ
  • バスバーの剥がれ
  • 裏板の中央接合面の剥がれ

剥がれが胴体外側であれば、ノックをすることで「ペチッペチッ」と音が鳴るので確認することができますが、バスバー(表材を内側から縦に支える骨組み)などの剥がれは分解してみないとわかりません。

また、指板が剥がれることもあります。

指板にはエボニー材(黒檀)等を使っており、下部のメイプル材と材質が違うために高温・多湿剥では剥がれることがたまにあります。

いずれにしても、音が変だと感じたら専門家に見てもらい、原因究明と適切な修理を行ってもらいましょう。

修理と同時に調整もできますので、見違えるほどのよい音が復元されることも多くあります。

剥がれたら工房に持ち込むかで何をすればいいのか

にかわが剥がれがある場合は、

  • 現状の駒位置を確認しておく
  • 直ぐに弦を緩める
  • テールピースの間に布を当てる

弦を張ったままだと、よりひどい故障が起きる場合があります。

弦を緩めるときには1本ずつではなく、4本をまんべんなく緩めていってください。(魂柱が倒れる覚悟はしておいてください)

でないと駒が倒れてテールピースが本体を打ち付け、キズや割れの原因となることがあります。

できればテールピースの下に緩衝材を挟んでから緩めるとさらに安心できると思います。

なお現在の駒位置が気に入っている場合には、緩める前にポストイットなどで位置の目印をしておくと後々便利です。

そもそも剥がれない為に

日本は高温・多湿のためか、夏場には表面のニスがカバーにくっついたり、胴や指板の剥がれが起きたりします。

当工房では梅雨時に修理のご依頼が多く、膨張率の違う板材のストレスが大きくなると剥がれが起きやすくなります。

また冬場の乾燥時にはニスの割れなどが見られます。

バイオリンの保管には、気温18度~20度、湿度50%~60%が望ましいとされており、夏場の日向での駐車では気温70度以上にもなりますので、そういうところへの放置は厳禁です。

バイオリンの表裏材は削り込みで形を整えますし、側面も長い時間を掛けて曲面を作りますが、プレス加工などで促成されると元よりストレスが残っていることもあり、そういうものは剥がれが起きやすくなります。

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