バイオリンは、そのまま弾くと、かなり音の大きな楽器です。
防音ではない部屋や、マンションで練習をすると、かなり響いて近所迷惑になることもあります。
そのため、音を小さくするために取り付けるのが消音機です。
駒の上に取り付けるのが一般的で、素材は金属やゴムなどいろいろあります。
金属の消音機のほうが消音効果は高く、音はかなり小さくなりますが、消音機本体がやや重たいので、弾くときに気になる人はいるかしれません。
一方、弱音機と呼ばれる器具もバイオリンに取り付けるものですが、こちらは音を小さくするというよりも、音色を変えるためのものです。
そんな消音器を付けて演奏し続けるとバイオリンの音が悪くなるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
さて、本当なのでしょうか。
消音機をつけると音が鳴らなくなるのか
消音機をつけて練習をしていると、消音機を取っても音が鳴らなくなる、というのはよく言われることです。
なので、大切なバイオリンには練習の時だけであっても消音機をつけないという人も多いでしょう。
実際には、消音機をつけたことで、取った時にも音が変化するという科学的な根拠はありません。
そのため、消音機を付けたからと言って音が鳴らなくなるというのは、確かとは言えないのです。
とはいえ、体感として音が鳴らなくなった、と感じる人は多くいるのですから、何もないとも言い切れません。
音が変わると感じる理由
消音機をつけて音が変わったと感じられる理由にはいくつかありますが、大きく下記の3点が考えられます。
- 消音器を付けた時の感覚に慣れて外してもその感覚で演奏してしまうため
- 消音器を長期的に付けることでバイオリン自体の振動運動の癖が変わる可能性がある
- 消音器の設置で駒ずれが起こったり本体を気づ付けたりするため
まず考えられるのは弾き方が消音機をつけた状態に慣れてしまうということでしょう。
音を出さないように弾く癖がつくことで、消音機を外しているときも無意識にそんな弾き方をしている可能性はあります。
さらに、奏者だけでなく、楽器自体も消音器をつけた状態での振動運動に慣れて、癖がついてしまう可能性が考えられます。
分かりやすく言うと、枝をグネグネ曲げていると、曲げた側に癖がついて、曲がったままになるのと同じ原理を、弱音気を付けた際の振動で、緩やかに長期的に振動の癖付けがなされていきます。
また、消音機を設置する際に駒がずれたり、バイオリン本体の上に落ちたり、手が当たったりしてバイオリンに傷をつけたり、壊したりしてしまうことがあります。
そうなると、当然音も変わってしまうので、それは気を付けたほうがよいでしょう。
消音機は使わないほうがよいか
音が変わることを気にして、消音機は使わない、という人もいますが、それで練習ができないのでは意味がありません。
もちろん音を出しても問題ない環境であればつける必要はありませんが、消音機をつけずに練習もしないよりも、消音機をつけてでも練習をしたほうが上達するのは間違いないでしょう。
消音機をつけて練習をした後は、必ず外して保管をする、手や弦が消音機にぶつかってバイオリンに負担をかけないようするなど、注意しながら使えば、基本的には問題ありません。
バイオリンの上達には練習は欠かせませんので、音が気になって弾き方が弱々しくなるよりは、消音機をつけてしっかり弾くことも大切です。
練習環境で音が漏れるのが気になる場合は、常につけて消音状態の振動の癖付けがなされないように気を付けつつも、必要に応じて装着し、まずは練習されることをおすすめします。