バイオリン制作や修理の現場ではよくニカワ(膠)が使われます。
実はこのニカワはとても大切な材料なのです。
よく聞くけどそんなに詳しくは知らないニカワとはどんなものなのか、なぜ今でも使い続けるのかについて紹介していきたいと思います。
ニカワの歴史
ニカワは古来から中国やエジプトなどで接着剤として使われてきました。
その様子は、エジプトの壁画やツタンカーメンの墓の内部の飾りにも見る事が出来ます。
ニカワは、世界で1番古いとされる古代ローマで使用されてきた天然アスファルトについで古い時代のものです。
その起源は古代エジプトで紀元前4千年ほどと言われています。
日本には7世紀頃に中国から墨の伝来と共に伝わりました。
ニカワの材料
ニカワに使われている材料は以下のものがあります。
- 動物の骨、皮、爪
- 魚類の皮
これらの素材を煮詰めて生成したものが、ニカワとなります。
この時ににごりがなく純度が高く生成されたものが、ゼラチンになります。ニカワはゼラチンよりも純度が低いです。
なぜ今でもニカワを使い続けるのか
古代エジプトの時代に作られたニカワ。
化学接着剤もあるこの時代になぜ今だに使われているのでしょうか?
それにはきちんとした理由があります。
それは、下記の理由からきています。
- 非常に高い接着性
- 再剥離による修理のしやすさ
- 自然由来で木材への使用に適している
まず、ニカワは非常に強い接着性を誇ります。
とある検証で木工ボンドよりも強く接着したというデータがあります。
さらにニカワを使用すれば修理する手間が比較的楽に済みます。
なぜかと言えば、水分や熱を加えると簡単に楽器を剥がす事ができるからです。
他の化学物質で作った接着剤だとそうはなりません。
そしてバイオリンなどの弦楽器、木の素材を使用した楽器に使用に適している事が1番重要です。
ニカワは水溶性で毒性がなく、1番木材との相性が良いのです。