バイオリンを始められるお子様の中には、アニメや有名人の演奏を見て、あこがれからスタートする方も多いと思います。
今回は、バイオリニストでなくとも、ストーリーに感動してしまう映画やアニメ「四月は君の嘘」と、その中で演奏されるバイオリン曲をご紹介させて頂きます。
映画「四月は君の嘘」
「四月は君の嘘」は2011年5月~2015年3月に月刊少年マガジンに掲載された新川直司(あらかわなおし)の漫画となります。
講談社の単行本11巻は発行部数500万部超えを記録し、大変な人気となり、その後アニメ化、ノベライズ化され、2016年には実写版で映画化されました。
なお舞台でのミュージカルやクラシックコンサート等も計画中で、今後とも人気が衰えそうにないようです。
病弱なバイオリ二ストの少女「かをり」をヒロインにし、同級生の天才ピアニスト公生(こうせい)との切ないラブストーリーです。
かをりの死と、その後に公生へ届く手紙につづられた告白と、かわいい嘘がクライマックスで、ここで涙に誘われない人はいないでしょう。
映画では新城毅彦を監督に広瀬すずと山崎賢人が主役、中川大志や石井杏奈等が友人として脇を固める超豪華キャストで、ある意味ヒットしない訳がない映画でした。
練馬区の西武新宿線・池袋線沿線が舞台になっており、そこを訪れるファンも多いことから西武電鉄とのコラボレーションで「君嘘ラッピング電車」も出現しています。
映画に使われたバイオリン曲
映画やアニメには、物語に沿って多くのバイオリンやピアノ曲が効果的に用いられています。
そこで使われたバイオリン曲を書き出してみました。
「四月は君の嘘」はその人気とともに、若い年代層にクラシック楽曲への親しみと、バイオリン演奏やピアノ演奏への興味を大いに持たせたことと思います。
バイオリンソナタ第9番(クロイツェル)第一楽章
作者:
ベートーベン( Ludwig van Beethoven )
シーン:
かをりがコンクールで演奏した楽曲で、ヒロインのバイオリン演奏の最初のシーンで流れる非常に印象的な場面で使用されています。
作品詳細:
1803年にベートーベンが作曲し、バイオリンソナタの最高傑作の1つに数えられています。
ピアノとバイオリンが展開部と序奏で緩急自在に演奏され、技術的にも高度なテクニックが必要な楽曲です。
24のカプリースOp.1 第24番イ短調
作者:
パガニーニ( Niccolò Paganini )
シーン:
かをりがコンクールで演奏したバイオリン曲で、自由奔放な演奏が本人の性格そのものを現しています。
作品紹介:
パガニーニが1800年~1810年にバイオリン独奏のために作った24のカプリース(奇想曲)の最後の1曲です。
16小節の主題が多くのバイオリン技巧で展開され、テクニカル要素が強い難曲と言われています。
序奏とロンド・カプリチオーソ
作者:
サン=サーンス(Charles Camille Saint-Saëns)
シーン:
かをりがバイオリンコンクールで公生のピアノ伴奏で演奏した楽曲です。かをりの性格に合った楽曲です。
作品詳細:
サン=サーンスが1863年に作曲したバイオリンと弦楽器の協奏のための楽曲で、後にビゼーがピアノ伴奏曲として編曲を行っています。
穏やかな序奏の後に情熱的な舞曲調ロンドが続きます。
変調を何度も繰り返したり、バイオリンの重音やガテンツァ(即興演奏)があったりするため、演奏者の技術とセンスも試される楽曲です。
なお、カプリチョーソ(capriccioso)は、フランス語で「気まぐれ」の意味です。
愛の悲しみ
作者:
クライスラー(Fritz Kreisler)
シーン:
かをりがガラコンサートで公生のピアノ伴奏で演奏する楽曲で、物語の切なさを現しています。
作品詳細:
1905年にクライスラーがバイオリンとピアノのために作った小曲です。
対となる「愛の喜び」も作られています。
なお、ピアノ独奏用に作られたラフマリノフ版も有名です。
一見単調な演奏に見えながら独特の情感が求められる楽曲で、バイオリニストにとって必携の演目とされています。