正式な落札価格や取引価格が一般公開されて価格が明確になっているバイオリンの最高落札価格は約16億円となっています。
実はそのバイオリンは、ストラディバリウスではないことを皆さんはご存知でしょうか。
ここでは、バイオリンの落札価格ランキングや、それをしのぐ価格であることが想定されるものや、そんなバイオリンたちの愛称などを一気に紹介してまいりたいと思います。
バイオリン落札価格ランキング TOP5
それでは、オークション形式で落札価格が公開されているものの中で、高額な取引額を記録したバイオリンたちを紹介していきたいと思います。
第5位:タイタニック
製作年 : 不明
愛 称: タイタニック
製作者 : 不明
落札価格: 170万米ドル(約1億6,660万円)以上
落札者 : 非公開
言わずとしてた豪華客船であるタイタニック号が1912年4月に大西洋で沈没したその沈没の瞬間も音楽家として「主よ御許に近づかん」を演奏を続けた音楽家ウォレス・ハートリー氏のバイオリンです。
タイタニック号の沈没にかかわる遺品関連では最高額を記録したそうです。
ウォレス・ハートリー氏の婚約者であるマリア・ロビンソンが彼に送ったことがわかる刻印プレートが添えつけられていたそうです。
第4位:レディ・テナント
製作年 : 1699年
愛 称: レディ・テナント
製作者 : アントニオ・ストラディバリ
落札価格: 2億300万円
落札者 : -
ここからはストラディヴァリの作品が上位を占めており、この1挺は価格が公開されているものの中では、比較的安価なものと言えるでしょう。
前のオーナーはスコットランドに住む裕福なアマチュアバイオリニストであったが、2005年にオークションに出品され、弦所有者が落札し、Liu Yangに貸与された。
第3位:ハンマー
製作年 : 1707年
愛 称: ハンマー
製作者 : アントニオ・ストラディバリ
落札価格: 3億5400万円
落札者 : 匿名
ストラディバリの黄金期の一挺で、履歴ある中での最初の所有者であるスイス人の収集家クリスチャン・ハンマーに由来し名づけられている。
また、バイオリニストの竹沢恭子にも貸与されていたことで知られる名器である
第2位:レディ・ブラント
製作年 : 1721年
愛 称: レディ・ブラント
製作者 : アントニオ・ストラディバリ
落札価格: 1589万4千ドル(約12億7千万円)
落札者 : 匿名
現状に至るまで、ほぼ無傷で保存状態が良いことで知られており、昔、この一挺を保有していた詩人バイロンの孫娘にちなんで名づけられたことは有名である。
あまりに有名なはなしであるが、日本音楽財団が、東日本大震災の被災地支援のため、英国のオークションに出品し、驚愕の値が付き、諸手数料を差し引き、縁覚寄付されたという。
チャリティの観点からも賛同者がふえたこともあり、過去の競売にかけられたストラディバリの中でも類を見ない価格で取引され、ストラディバリの名を一般にも知らしめた一挺である。
第1位:ヴュータン
製作年 : 1741年
愛 称: ヴュータン
製作者 : ジュゼッペ・グァルネリ
落札価格: 約16億円
落札者 : 匿名
だれもが、最高落札額のバイオリンはストラディバリと思っているなか、最高落札価格16億円を記録して、いまだに破られていないのがジュゼッペ・グァルネリこの一挺、ヴュータンです。
ストラディバリと肩を並べて有名な製作者で、コンサートホールなどでの多くの聴衆の前での演奏を目的にした力強いパワーサウンドが特徴的なバイオリンを数多く残している。
また、300年弱の年月を経たバイオリンにもかかわらず、ヒビ割れや修復痕一つない、素晴らしい保存状態であることと、ストラディバリより絶対数が少ないこともあり、この価格を付けたのである。
落札後は、ヴァイオリニストのアン・アキコ・マイヤースに永久貸与となっている。
価格の正式公開なきもの含めた高額バイオリンたち
オークションにかけられるバイオリンも多く存在しますが、バイオリンの多くは直接の取引で価格が公開されていないものがほとんどとなり、推定価格や現状の価値であれば…といった言い方などで語られる品が多いです。
その中には、オークションでの落札ランキングを上回るものも数多く存在します。
著名人であられる、ZOZOTOWNの元代表取締役である前澤友作氏や、バイオリニストの高嶋ちさ子氏の保有するバイオリンもそうしたものになります。
公言価格あり又は著名人保有のストラディヴァリウス
- 1722年製 ロード(ストラディバリウス) 推定20億円(日本音楽財団保有)
- 1699年製 ペトリ(ストラディバリウス) 10~15億円(木嶋真優さん所有)
- 年代不明 ルーシー(ストラディバリウス) 2億円(高嶋ちさ子さん所有)
- 1717年製 ハンマ(ストラディバリウス) 価格非公開(前澤友作さん所有)
その他のストラディヴァリウス
下記は数百あるなかの一部ですが、ストラディヴァリウスの作品の年式や愛称がわかるものを掲載させていただきます。
バイオリン
製造 | 愛称 | 所有者 |
---|---|---|
1677 | サンライズ | スミソニアン博物館 |
1679 | ヘリエ | スミソニアン博物館 |
1680 | パガニーニ | 日本音楽財団 |
1684 | ウェブス | 篠崎 功子 |
1685 | 矢部 達也 | |
1698 | トゥーロー | 海野 義雄 |
1699 | メトロポリタン | |
1700 | ドラゴネッティ | 日本音楽財団 |
1701 | サークル | |
1702 | ロード・ニューランズ | 日本音楽財団 |
1703 | ディクソン・ポインター | 辻 久子 |
1704 | ベッツ | ワシントンの国会図書館 |
1707 | カテドラル | |
1708 | ハギンス | 日本音楽財団 |
1708 | ルビー | ストラディヴァリ・ソサエティ |
1709 | エンゲルマン | 日本音楽財団 |
1709 | キング・マキシミリアン | |
1710 | カンボ・セリーチェ | 日本音楽財団 |
1713 | レディ・レディ | 浦川 宜也 |
1714 | ドルフィン | 日本音楽財団 |
1715 | レカミエ | 日本音楽財団 |
1715 | ヨアヒム | 日本音楽財団 |
1715 | フランチェスコ・ルジェーリ | 大阪芸術大学 |
1715 | エクス・ピエール・ローデ | NPO法人イエル・エンジェル |
1715 | ティティアン | |
1715 | エンペラー | |
1715 | アラード | |
1716 | ブース | 日本音楽財団 |
1716 | デュランディ | 千住 真理子 |
1716 | メシア | アシュモリアン博物館 |
1717 | ダヴィンチ | 中澤 きみ子 |
1717 | サセルノ | 日本音楽財団 |
1717 | ナイチンゲール | 米国カーティス音楽院 |
1718 | ファイアーバード | サルバトーレ・アッカルド |
1720 | ロチェスター | 徳永二男 |
1722 | ジュピター | 日本音楽財団 |
1725 | ウィルヘルミ | 日本音楽財団 |
1727 | パガニーニ | 日本音楽財団 |
1727 | サントリー音楽財 | |
1727 | エルマン/レカミエ | |
1727 | ヴィーナス | 日本の音楽学校 |
1735 | サマズィユ | 日本音楽財団 |
1736 | ルーシー | 高嶋 ちさ子 |
1736 | ムンツ | 日本音楽財団 |
1737 | スワン |
ヴィオラ
製造 | 愛称 | 所有者 |
---|---|---|
1690 | メディチ | |
1731 | パガニーニ | 日本音楽財団 |
チェロ
製造 | 製造 | 所有者 |
---|---|---|
1696 | ロード・アイレスフォード | 日本音楽財団 |
1701 | セルヴェ | ワシントン・スミソニアン博物館 |
1711 | デュポアー | ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ |
1727 | フォード | 岩崎 洸 |
1730 | フォイアマン | 日本音楽財団 |
1736 | パガニーニ | 日本音楽財団 |
まとめ
他にも多くのストラディバリやガルネリやアマティの作品たちが存在しますが、こうしてみてみると、多くのバイオリン保有者たちは芸術を守り、それらは奏者の手に渡され、長きにわたって弾き継がれているようです。
当然のことながら、保存状態の維持という目的もありますが価値あるものを、素晴らしい演奏というかたちで価値ある形で継承していく素晴らしさに、価格以上の意気とロマンを感じるものです。
私たちも額に差はあれど、そうした何かに投資する選択ができる心意気を身に着けたいものです。