書籍紹介「ヴァイオリンの見方・選び方 基礎編」書評レビュー

当工房のお客様から頂く相談で『高価なバイオリンの購入で悩んでいます』という方も少なくありませんが、数十万円または数百万円のバイオリンを購入する前に、この書籍に約3,000円の投資をする価値があるかと思いますので、購入されることをおすすめします。

けっして一概にとは言いませんが、理由は、“高価なバイオリンが名ばかりのバイオリン”である可能性があるからです。

騙されないために、まずは知識で武装しましょう。

こちらのページでこちらのページでは、そんなバイオリン購入で迷っている方にはすごくお勧めの「ヴァイオリンの見方・選び方 基礎編( Amazon / 楽天市場」の特徴について紹介させていただきたいと思います。

本書の特徴

本書では、バイオリンを知識なく、ブランド志向で購入する傾向のある日本人を下記の通り還付なきままに滅多切りにしている点が、清々しい書籍です。

  • ヴァイオリンの音を国籍で求める行為ほどばかばかしいことはない。
  • ヴァイオリン先進国で“イタリア・ヴァイオリン”という魔法の言葉に 呪縛されているのは日本のみである。
  • 正しい知識と 冷静な耳をもってヴァイオリンに接すれば、自分の予算内で『欲する音』 は必ず手に入る。

特に現代では、中国製だからと言ってダメだという時代は終わりつつあり、クレモナで技術習得し、ディプロマを取得した優秀な中国人製作者のバイオリンも増えていますので、この書籍を読んで、本当に良いバイオリンの見抜き方を大系的に学びましょう。

  1. 購入する前の方にも参考になる書籍
  2. 購入後の初心者向け役立つ基礎知識が満載
  3. 製作者の系譜の情報が有難い

ブランドに負けるない知識武装

断言しますが、「やっぱり、イタリアンやフレンチがいいですよ」と、初動のコンタクトでオススメされる店員さんや工房さんは信用してはいけません。

この基本的なことが何故だめなのか、何を基準に選ぶべきなのか、バイオリンを初めて購入する方や、アップグレードのために、新たにワンランク上のバイオリンを買う方への“見る目”を養うための具体的な方法/基準をパーツや音色など含めて解説しています。

これからバイオリンを習う人は必見

実際に会話の中で出てくる基礎的なワード(バイオリンの部位の名称や歴史)など、基礎知識も網羅しているので、バイオリン購入前だけの知識武装ではなく、奏者として必要なバイオリン自体の基礎知識も網羅的に掲載されています。

製作者の系譜の情報が有難い

ブランドや製作者だけで選ぶのはよくないとは言いつつも、音色の方向性や、造りの良し悪しや、好みの形状等、系譜を見ることで理解できることも多く、こうした製作者の系譜は参考になります。

基本情報

改訂 ヴァイオリンの見方・選び方 基礎編 -間違った買い方をしないために
→書籍を探すAmazon / 楽天市場

ジャンルバイオリン
著者神田 侑晃
出版社せきれい社
ページ数152ページ
サイズ25.6 x 18 x 1 cm
定価3,000円(税別)
出版日2017年7月26日

書籍の目次

  1. 本体についての基礎知識
    • 各部の名称を覚えましょう
    • 大切なサイズのはなし
      [覚えておきたい二つのサイズ]
    • 材料(Woods)には何を使うか
    • パターン(Pattern, Shape, Model, Form)
      ・・・ヴァイオリンの「形」のはなし
    • ふくらみ(Arch, アーチ)について
    • 厚み(Thickness)の話
    • 作り(Workmanship)について
    • ニス(Varnish)の話
  2. バロック・ヴァイオリンからモダン・ヴァイオリンへ・・・フィッティングの変遷
    • バロック・ヴァイオリンとモダン・ヴァイオリンとの違い
    • モダン・フィッティングはパリに始まり、ヨーロッパ各地に広まった
    • フィッティングの実際
    • ネック・グラフティングには二通りあります
    • ネック・グラフティングの痕跡は、鑑定の基本的なポイントです
  3. 部品の概要
    • 4点セットの材料について
    • ペッグ(Peg、糸巻)
    • テール・ピース(Tail Piece, 緒止め)
    • エンド・ピン(End – Pin)
    • アゴアテ(Chin – rest, 顎当て)の選び方
    • 駒と魂柱はクラフトマンの腕の見せ所
  4. ヴァイオリンの音を解析する
    • ヴァイオリンの音の音響学(Acoustics, アクースティクス)的分析の歴史と結果
    • 音響学的解析は果たして正しい研究なのでしょうか
  5. 材質、本体の形、経年変化がもたらす音への影響
    • 材質と音との関連
    • パターン、エフ孔、横幅、横板と音との関係
    • 誤解されているハイ・アーチ・ヴァイオリン
    • 経年変化が大切な理由
  6. オールド、モダン、コンテムポラリー(Contemporary, 新作)ヴァイオリンの意味
    • オールド・イタリアン・ヴァイオリン
    • モダン・イタリアン・ヴァイオリン
    • コンテムポラリー・ヴァイオリン(新作)
  7. ヴァイオリンの系列(スクール、School)
    • 銘器の名前を覚えましょう
    • イタリア
      1.クレモナ(Cremona)スクール
      2.ブレッシャ(Brescia)スクール
      3.ヴェネツィア(Venezia)スクール
      4.ミラノ(Milano)スクール
      5.トリノ(Torino)スクール
      6.ナポリ(Napoli) スクール
      7.マントヴァ(Mantova)スクール
      8.ボローニャ(Bologna)スクール
      9.ローマ(Roma) スクール
      10.フィレンツェ(Firenze)スクール
      11.フェラーラ(Ferrara)スクール
      12.コモ(Como)スクール
      13.アスコリ(Ascoli)スクール
      14.ジェノヴァ(Genova)スクール
      15.ヴィツェンツァ(Vicenza)スクール
      16.ヴェローナ(Verona)スクール
      17.リヴォルノ(Livorno) スクール
      18.ピアツェンツァ(Piacenza)スクール
      19.トゥレヴィソ(Treviso)スクール
      20.フェルモ(Fermo) スクール
      21.パドゥア(Padua)スクール
      22.パルマ(Parma)スクール
    • ドイツ系(Germany, Austria, Czecho, Slovakia)
      1.フュッセン(Fussen)スクール
      2.チロリアン(Tyrolian) – アブサム(Absam)スクール
      3.ミュンヘン(Munchen) スクール
      4.アウグスブルク(Augusburg)スクール
      7.ミッテンヴァルト(Mittenwald) – バヴァーリアン(Bavarian)スクール
      8.ストラスブルク(Strasbourg, ストラスブール)スクール
      9.ザクソニイ(Saxony) スクール
      10.ベルリン(Berlin) スクール
      11.ドゥレスデン(Dresden)スクール
      12.マインツ(Mainz) スクール
      13.プラハ(Praha) – ボヘミアン(Bohemian)スクール
      14.ヴィーン(Wien) – プレスブルク(Pressburg、今のBratislava – スロヴァキア) スクール
    • フランス(France)
      1.黎明期
      2.パリ(Paris) – ミルクール(Mirecourt)スクール
      3.1,2以外のフランスを代表するメーカー
    • ロー・カントリーズ(Low Countries, Benelux, ベネルクス)
      1.オランダ(ダッチ・スクール, Dutch School)
      2.ベルギー(フレミッシュ・スクール, Flemish School)
    • イギリス(England)
      1.イギリス 17-18世紀
      2.イギリス 19世紀
    • デンマーク(Denmark)
      1.コペンハーゲン(Copenhagen)
    • スペイン(Spain)
      1.18世紀
      2.19世紀
  8. 「ヴァイオリンの見方」の総括
    [総括]
    [終わりに]
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