バイオリンの演奏技術の中で、移弦(いげん)はとても大切なスキルとなります。
移弦がうまくいかないと、演奏の中で音が途切れてしまいますし、スムーズに曲が流れません。
特にバイオリンの演奏を始めたばかりのころは、この移弦がとても難しく、練習に時間を割くことがほとんどといってもいいでしょう。
なかなか簡単ではありませんが、こちらでは、移弦を上手にする方法についてお話ししましょう。
移弦上達のポイント
移弦を含めたバイオリン技術を上達させるには、前提的な考え方と、体系的なレッスンの両方が必要となります。
下記の1点目が考え方で、その思考を普段から意識して、基礎を繰り返すことで、技術は上達するものです。
- 移弦先の角度を事前に意識する
- 弾く弦に合わせて肘の高さを変える
- 待ってから弾く
- 必要以上に動かさない
移弦先の角度を事前に意識する
多くの教本で、移弦は「肘で動かす」や「移弦できてから音を出す」などという、レクチャーからスタートしますが、移弦前の意識を、ゆっくりのペースでも構わないので、明確にしていく必要があると考えます。
慣れれば意識する必要はなくなりますが、初動は、ゆっくり曲を練習しながら、「次はこの角度」などというのを、「考える」「体の動いた角度の体感」「角度を視覚的にみる」の3点から意識的に練習することで、脳科学的にも定着が早いとされています。
弾く弦に合わせて肘の高さを変える
移弦をするときには肘の高さが重要になります。
初心者の場合にはどうしても手首で移弦をしようとするので、肘が下がったままの移弦になりがちです。
やってみるとわかりますが、手首だけで移弦をすると、弓の毛の位置が変わってしまい、移弦のたびに音質が変わってしまいます。
弾く弦に合わせて肘の高さを変えて、弓の毛が弦に接している面を安定させるのです。
移弦は待ってから弾く
移弦は、1つの弦を引いたら次の弦を弾くまでに待つという動作が必要になります。待っていると音が遅れてしまうと考えるかもしれませんが、まずは、弦を弾き終えて次の弦に移る動作を、確実に行うことを練習しましょう。
焦ってしまうと音が乱れますし、確実な移弦ができません。
これができるようになったら、動作を早くする練習をすればいいのです。
移弦は必要以上に動かさない
移弦をしっかりしなければならない、確実に音をださなければならない、こうした気持ちは大事なのですが、必要以上に腕や弓を動かす必要はありません。
肘が安定した高さにあれば、弓は移弦の際に大きな動きはいらないはずです。
弓の動きが確実な移弦の基本ではありますが、大きく動かすことはかえって移弦の難しさを強調することになります。
大きな動きよりも、確実に動かすことが、移弦を上手にする方法ともいえるのです。
移弦を上手にする練習方法について
移弦は難しいものですが、練習をして自分の良い技術にしたいところです。
そこで、肘の高さ、前腕・手首の動き、指の曲げ伸ばしを組み合わせて練習をしていきます。
早い移弦をするときには、手首と指、前腕を使って円を描くような動きが基本です。
ただし、弓の動きは直線的というイメージをもって練習をします。
スラーを取り入れた練習をすると、移弦がスムーズにできるようになります。
練習曲の中にもこうしたスラーを中心に入れて、移弦の練習ができるようになっているものがあるので、使ってみるといいでしょう。
移弦の練習曲としては、スラーは入っていませんが、メリーさんの羊などもおすすめです。
Youtubeでも、移弦についての練習方法の動画も多く公開されていますから、使ってみるのもおすすめです。